脚本:尾西兼一
監督:矢田清巳
第九話の舞台は岩手県の北端、二戸市。劇中にも登場する「浄法寺塗」は、二戸市の伝統工芸品。国内で採れる漆のおよそ7割が、二戸地域のもの。生産量だけでなく、質の高にも定評があり使うほどにつやや輝きが増していくのが特徴。
さらには、日本最古の盆踊りと言われる「ナニャトヤラ」という伝統芸能も劇中に登場。古くから二戸に伝わる太鼓のリズムと歌に合わせて繰り広げられる踊り。
村人を集めた盆踊りのシーンでは、ドラマではなかなかお目にかかれない人も登場するかも!?
浄法寺を通りかかった光圀(武田鉄矢)一行は、酔っぱらって喧嘩していた塗師・磯次(やべきょうすけ)の仲裁に入る。修業に出ていた磯次は、叔父の茂兵衛(螢雪次朗)が病に臥せっていると聞き三年ぶりに舞い戻ってきたのだという。だが、茂兵衛を訪ねると弟分の長吉(久保山知洋)と、磯次の妹・お糸(小槙まこ)を一緒にさせ、2人に浄法寺塗の跡を継がせようとしていた。怒った磯次は、家を飛び出してしまう。
同じ頃、茂兵衛の浄法寺塗を扱う漆器問屋「若松屋」の女将・お嶋(木内晶子)が、勘定所元締・井沢主膳(原口剛)に呼び出されていた。献上品の納期を早めろというのだ。だが、これは商売敵・三沢屋金兵衛(杜澤たいぶん)が井沢と結託し、私欲を肥やそうと画策したことだった。
一方、呑んだくれていた磯次は、金兵衛の手下に襲われている長吉に遭遇。深手を負った長吉は、献上品を作ることが出来なくなってしまう。しかし、光圀らの説得に立ちあがった磯次が作業を引き継ぐ決意を固めるのだが・・・。
やべきょうすけ
磯次 役
浄法寺塗師。塗師としての腕はいいが酒癖が悪い。お嶋に想いを寄せている。
螢雪次朗
茂兵衛 役
磯次の親方。3年前に勝手に出ていった磯次を許しておらず、冷たくあしらう。
木内晶子
お嶋 役
漆器問屋「若松屋」の女将。藩への献上品を取り扱っている。一度は嫁いだが出戻って店を継ぐ。
小槙まこ
お糸 役
磯次の妹。3年前に出て行った磯次をずっと気にかけていた。長吉と結婚の約束をしている。
久保山知洋
長吉 役
磯次の弟弟子。磯次のいない間に献上品を手掛けるまで腕を磨いた。戻った磯次に遠慮している。
原口剛
井沢主膳 役
勘定所元締。金兵衛と裏でつながり賂で私腹を肥やしている。
杜澤たいぶん
三沢屋金兵衛 役
漆器問屋「三沢屋」主人。「若松屋」に嫌がらせを繰り返し店を潰そうとする。
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