<世界のマグロを食いつくす日本人> 2003年の統計で、世界のマグロ漁獲量219万トンに対し、日本の消費量は59万トン! 世界で獲れるマグロの約三分の一以上を日本人が食べていることになり、そのほとんどが刺身などの生食として消費されています。
<マグロの生息分布図> クロマグロは太平洋や地中海、ミナミマグロはインド洋などに生息しています。回遊魚のマグロは、世界中の暖かい海で産卵、孵化して、死ぬまで泳ぎ続けます。 日本近海で獲れるクロマグロは、フィリピンや沖縄沖で生まれ、春から夏にかけ、えさを追いながら日本海側と太平洋側に分かれて北上。秋から冬にかけて、北海道の松前沖や青森の竜飛沖までやってきます。 えさをたっぷり食べたマグロは、その後南下していきます。
<マグロの種類> クロマグロ…体長2m50cm 体重280kg 時速160キロのスピードで泳ぐ。本マグロとも呼ばれる。 次いで大きい順に、ミナミマグロ、メバチマグロ、キハダマグロ、ビンチョウマグロ。
<トロと赤身> お寿司で一番人気といえば、脂ののったトロ。しかし戦前は捨てられていたのです。 一体、日本人の味覚に何が起きたのか?
日本人が古くからマグロを食用にしていた証しに、縄文時代の貝塚から、マグロの骨が出土しています。 しかし、マグロの赤身は腐敗しやすく、高級魚ではありませんでした。
江戸末期になると、腐敗を遅らせるために、マグロの赤身をしょうゆ漬けにした「づけ」が考え出されました。 これが握り寿司のネタとして、大人気に! 生臭さを消す山葵の工夫も功を奏し、赤身が一躍脚光を浴びることになったのです。 しかし、淡白な味を好む日本人に、脂っぽいトロは見向きもされませんでした。
時は流れ、太平洋戦争後の1953〜54年、マグロ漁船が、遠洋で獲ったマグロの冷凍を始めます。といっても当時はまだ急速冷凍の技術はなく、緩慢凍結だったのです。 めに水っぽくなり、味が落ちてしまいました。そのため、解凍しても味の落ちにくい脂身のトロが注目され始め、現在のように食べられるようになったのです。