11月3日放送 (# 5)
Q.大根はどこで生まれたのか?
アジア生まれのようなイメージがあるかもしれませんが、実はヨーロッパ出身だったのです。大根の学名は「ラファヌス」。これは地中海地方の言葉であるため、大根の原産地は、地中海沿岸から黒海沿岸地方一帯であるといわれています。
Q.いつから食べていたか?
古代エジプトやギリシャ・ローマ時代にはすでに栽培されていました。今から5000年前にこのラディッシュとニンニク、タマネギがピラミッドの碑文に描かれており、壁画にも大根が描かれていました。クレオパトラも食べていたのではないかと言われています。人類が古くから食べていた野菜のひとつです。
Q.大根が日本に伝わったのはいつ頃?
今から約1300年前。古くは「オオネ」と呼ばれていたそうです。日本に伝わった「大根の道」は大きく2つのルートに分かれています。
1.【北ルート】
中央アジア、ロシア、モンゴル、チベット、中国東北部、華北、華中地帯や韓国をたどってきた、華北系大根。この系統は、根が中型や大型で肉質は厚くて硬く、多様な色素もあり耐寒性と貯蔵性が高い。辛味も強く、主に漬物や生食、薬味などに適しています。
2.【南ルート】
中東からインドや東南アジア、中国の華中、華南、西南地方を経て日本にたどりついた、華南系大根。特徴は根が細長く、小型、中型で肉質は柔らかく多汁。貯蔵性は低いが、耐寒性が強い。漬物や煮物に適しています。
こうして入ってきた大根は、各地で改良を重ねられ、現在、日本各地には多様な品種があり、その数およそ100種類以上もあります。京都、東京、愛知などの「地大根」が地方の風土と相俟って、郷土食を生み、地域の文化を培ってきたというわけです。
しかし今、地大根を目にする機会はほとんどありません。なぜなら、今全国的に主流なのはこの「青首大根」なんです。これは、宮重大根の改良型で、特徴は、大根の上部が緑色で、辛味が弱く、煮崩れしにくいこと。現在はこの青首大根が市場を独占しています。
Q.青首大根が市場を独占しているワケ
青首大根は「味にクセがなく、甘みがあって食べやすい」という消費者の好みに合い、「大きさが手頃で栽培しやすく、引き抜くのが楽」という生産者の利点。そして、「上から下まで同じ大きさで扱いやすい」という流通業者との3者の利害関係が一致したため。
こうして、日本から「辛い大根おろし」が消えてしまったというわけです。
以上、日本の大根に関する『基本の基』でした!
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