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2004年4月25日(日) テーマは『胃がん』
(今週のテーマは2003年3月30日に放送したものです。)
今回放送分のドクターQ&Aは、こちら

今週のドクター
今週のドクターは、
癌研究会附属病院 顧問
中島 聰總先生



【略歴】

’61年

東京医科歯科大学医学部卒業

’68年〜 (財)癌研究会附属病院外科にて
胃癌一筋に診療と研究を行う
’94年 同病院副院長
’98年 日本胃癌学会会長、胃癌治療ガイドラインの作成に尽力
’02年 日本がん臨床試験推進機構常任理事

【ドクターの一言】
胃癌はかって日本の国民病と言われたが、最近は良く治るようになった。これからは胃癌の予防のために、塩分控えめのバランスの取れた食事をとり、近親者に胃癌のいる人は健診を心がけたい。



【著書】
胃癌の化学療法 新興医学出版社 1981
胃癌治療のストラティジー 新興医学出版社 1984
Multimodality therapy
for gastric cancer
Springer Verlag 1999
がんの情報 NHKきょうの健康別冊 2002
がんの治療 NHKきょうの健康別冊 2002
胃癌診療の基本 中山書店 2003


CONDITION OF ILLNESS 病気と症状のメカニズム

データがんは、ここ20年来、脳卒中を抜いて死亡原因の第1位を占め、上昇を続けています。中でも患者数が最も多いのが、胃がん。死亡原因としては男性では肺がんの次に多く、女性では最も多いのです。胃がんは特有の自覚症状がほとんどないため、発見が遅れることが多いのです。さらに、20〜30代の女性の胃がんは、とても進行が早いとも言われています。がんが、目に見えるまでに大きくなる頃、がん細胞は何億という数に達しています。データ私たちの身体は、およそ60兆個の細胞からできています。がん細胞とは、何らかの理由で、遺伝子が傷ついて、正常な役割を果たせなくなった細胞のことです。原因は、はっきりとはわかっていませんが、強い放射線、発がん物質、ウイルスなどと言われています。正常な細胞とがん細胞には、決定的な違いがあります。正常な細胞は、傷ついたり、古くなったり、役割を果たせなくなると、自分で自分を殺して、新しい細胞に入れ替わります。これはアポトーシスといって、細胞の最も大切な役割のひとつなのです。しかし、がん細胞は、アポトーシスを行いません。死ぬことのないがん細胞は、まわりの細胞を押しのけて、際限なく増え続けるのです。この違いこそ、がんが広がっていく理由です。胃がんは胃の粘膜の表面から、発生してきます。数年〜10数年の時間をかけて、粘膜表面を横に広がりながら、大きくなります。がんが小さなうちは、がん細胞も正常な細胞とほとんど性質が変わりません。しかし、がん細胞が分裂を繰り返し、がんが大きくなるにしたがって、徐々に正常な細胞と違う性質を持つようになります。こうなるとがんは、データ胃壁の奥に向かって、しみ込むように大きくなり始めます。これは、がん細胞がまわりの細胞を、溶かす酵素を出すからです。こうして、胃全体がゆっくりと、がんに蝕まれていきます。つまり、命を奪うがんになるまでには幾つかの段階があるのです。粘膜表面を、ただ増えるだけのものは、良性腫瘍と呼ばれます。一方、まわりの細胞を壊しながら、増えていくものを、悪性腫瘍、がんと言います。ただし、良性だからといって安心はできません。いつがんに変化してもおかしくない可能性を持っているからです。胃がんは、進行の度合いによって、早期胃がん進行胃がんに分けられます。胃の壁は5つの層に分かれています。がんは胃の壁を壊しながらしみ込むように広がります。粘膜、あるいは粘膜下層までの胃がんを早期胃がん。がんが筋層に達していれば、進行がんです。胃の壁を突き破って、胃に接している大腸やすい臓に入り込むこともあります。一般的に、自覚症状がないと言われる胃がんですが、胃の出口近くにがんができると、食べ物が通るのを邪魔するので、げっぷ、吐き気、嘔吐などの症状が現れます。がんで最も恐ろしいこと、データそれは転移です。正常な細胞は通常、接着剤のような物質で、互いが固定されています。しかしがん細胞には、この接着剤がありません。そのため、バラバラに散らばりやすいのです。がんは、全身に張り巡らされた、血管やリンパ管を使って転移を始めます。胃がんが進行すると、まずリンパ管を伝って転移が始まります。これは胃の粘膜下層に、小さなリンパ管が通っているからです。がん細胞が、リンパ管の壁を壊して入り込み、胃に接したリンパ節や胃のまわりの血管に沿ったリンパ節に転移します。これをリンパ行性転移といいます。胃がんの転移では、鎖骨の上のリンパ節が大きくはれることがあります。また、筋層には血管が通っています。がんが筋層まで達するデータと、血管による転移が起きてしまうのです。これを血行性転移といいます。血管に入り込んだがん細胞は、何と肝臓で増殖し始めます。胃と肝臓は太い血管で結ばれているため、がんが転移しやすいのです。さらに、お腹の中に種を播いたように広がり、それぞれ大きくなります。これが最もやっかいな転移です。胃の中のがん以上に怖いのが、これら転移したがんなのです。

EXAMINATION 検査
胃がんの検査
内視鏡検査 胃の粘膜を直接見て、色や形で
がんかどうかを調べる
レントゲン検査 がんが胃の壁の中を、どのように
どの程度広がっているかを調べる
超音波検査 肝臓・すい臓など胃の周りの臓器に
転移がないかを調べる
CT検査 肝臓・すい臓などの近接した臓器や
肺・腸・食道などの離れた臓器への転移、
血管の周りやリンパ節への転移を調べる
MEDICAL TREATMENT&MEDICINE 治療と薬
胃がんの治療
内視鏡的切除
(ITナイフ法など)
早期胃がんで、転移の可能性が
ほとんどない場合に行われる
切除手術
がんが胃壁に深く入り込んでいる場合に行われる
がんの深さや範囲、周辺のリンパ節への
転移の程度で切除する範囲が違う
化学療法
(抗がん剤)
手術ができない場合
再発予防
手術の前にがんを小さくする
抗がん剤の副作用
貧血
吐き気
下痢
  白血球減少
嘔吐
脱毛
FRONTIER 最先端技術
データこれまで難しかったがんを完治させるための薬が、現在、研究・開発されていま す。中でも注目されるのが、進行胃がんを40〜50%に縮小する薬、TS―1。TS―1は3種類の異なる作用を持つ薬で作られています。ニセの部品でがん細胞を死滅させるフトラフール。しかし、フトラフールは、体内で分解されやすいため、長時間薬の効果が持続しませんでした。その分解を防ぐための薬が、第2の薬、ギメラシルです。しかし、フトラフールにギメラシルを加えると、フトラフールの濃度を上げすぎるという欠点が生まれました。フトラフールの濃度が上がると、下痢や吐き気などの強烈な副作用が出ます。そこで、フトラフールの濃度を上げ過ぎないようにして、副作用を抑える役割をするのが、第3の薬、オテラシルカリウムです。この3種類の薬が組み合わされて、進行胃がんに治療効果があるTS―1が生まれました。この他にも、胃がんに効果のある新薬の研究・開発が、進められています
SELF MEDICATION 自己管理
どうして胃がんになるのか?がん細胞を増やす引き金は何なのか?はっきりとしたことは未だ判っていませんが、がんを作る可能性を1つずつ消していくことが、胃がん予防の第一歩です。データ胃潰瘍の原因として知られるヘリコバクターピロリ菌。胃の粘膜を傷つけることで、胃がんの発生にも関係しています。胃にピロリ菌がいるかどうかは、呼気テストによって簡単に調べることができます。ピロリ菌は、飲み薬によって、きれいに取り除けます。ピロリ菌の駆除することで、胃壁がきれいになり、小さながんを発見しやすくなる効果もあります。実は、がんを防ぐための12ヵ条があります。






データデータデータ








データ

【1 バランスのとれた栄養をとる】
食べ物の中には「がん」引き起こす物質と「がん」を抑える物質が共に含まれています。できるだけ多くの種類の食べ物をバランスよく食べて発がん作用のある物質の摂り過ぎに注意していく事が重要です。
【2 毎日、変化のある食生活を】
【3 食べすぎを避け、脂肪分は控えめに】
【4 お酒はほどほどに】
【5 たばこを吸わないように】
【6 食べ物から適量のビタミンと繊維質のものを多くとる】

緑黄色野菜をたっぷりと摂るようにしましょう。
【7 塩辛いものは少なめに、あまり熱いものは冷ましてから】
塩分の摂りすぎは、胃がんの発生に深い関わりがあります。1日の塩分量の目安は10グラム以下にしましょう。
胃や食道をいたわることが大事です。
【8 焦げた部分はさける】
【9 かびの生えたものに注意】
【10 日光に当たり過ぎない】

紫外線で焼けた肌は、一種のやけどの状態。繰り返すと、遺伝子が傷つき、がんを誘発する可能性があります。
【11適度にスポーツをする】
スポーツは気分転換にもなりますし、健康づくりにも必要です。
【12 体を清潔に】
皮膚の汚れがたまると、特に皮膚がんの発生を招くおそれがあります。毎日、入浴は欠かさず、清潔を保ちましょう。

がんを防ぐ12ヵ条は、日常の生活習慣の総点検にも繋がります。
一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

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