第9回
2003/06
2003年6月23日に第9回ビーエス・アイ放送番組審議会が開催されました。審議会委員は7名が出席され、ビーエス・アイ側からは生井社長以下9名が出席致しました。
第9回の審議会は(1)テレビ番組 『68』(ショートフィルム特集)について審議を行いました。
*『68』(ショートフィルム特集)の放送日時:5月17日(土曜日)午後11時~12時
(1)テレビ番組 『68』(ショートフィルム特集)について委員からは以下のような意見・感想がありました。
- ・番組構成としてなんですけれども、前置きがちょっと長過ぎると思いました。お2人のアナウンサーのかけ合いはいいんですけれども、わかり切った話を長々とやっていらっしゃる感じが私にはしてしまって、その割には解説が30秒で短い。解説がもうちょっと長くて、前置きはもっと短くていいんじゃないかなという気がちょっといたしました。
- ・「ザッピング」、リモコンでカチャカチャ切りかえるという意味だそうですけれども、それ自体がこういう映画解説というものに適しているかどうか、ちょっと疑問を感じました。というのは、30秒という短い時間ということもありましたし、6と8で両方見ましたので、その違いも大体わかりましたけれども、これをザッピングで見てもおもしろいかなというと、ちょっと何か違うような気がしました。このザッピングの試みはおもしろいんですけれども、私には、ショートフィルムでバトルになっている感じがしなかったんですね。ザッピングをやるとしたら、何か別の考え方、別の題材の方がいいかな。例えば巨人・阪神戦をやった後に、熱烈な巨人ファンの解説者と熱烈な阪神ファンの解説者が両方でやって、両方、違いを見たらおもしろいとか、どちら側に立つということがはっきり見えるものの方が、バトルとしてはおもしろいと思います。確かに8チャンネルは8チャンネルの特色がちょっと出ていたような気がしますけれども、私にはそんなに違いを感じられなかったので、ザッピングを生かすとしたら、その辺が課題なのかなというようなところを感じました。
- ・ショートフィルムというのは、心の非常に微妙な変化を映像にしたり、小さな日常の出来事を映像にしたり、ちょっとウィットに富んでいたり、意外とデリケートなもののような気がするんですね。長編とは全然違って、何となく落ちついて見たいなという気がしたんですけれども、やはり司会のアナウンサーの格好が、いつも派手なんですね。だれもがいいそうなことをバーッといっているような感じがしました。ですから、最後のショートストーリーの場合は、監督さんが話していたり、出演者が話していたりとかいうような感じにすると、ああ、なるほどなと、短い間のストーリーがワーッと大きくなったようなニュアンスがあるので、私は、ああいうふうにやっていただくのが一番いいと思いました。もちろん、外国のものはそういうことはできないと思うので、やはり制作の過程をもうちょっと落ちついて話していただいた方がいいのかなと思いました。
- ・私はこの司会は非常におもしろかったですね。この明るさ、ある種の軽薄さ、ノリのよさ、こういうものを見なれていないせいもあるかもしれませんけれども(笑)。つなぎで話していくことは非常に難しいもので、もしこれを大まじめにコメントしていったら、逆に乗れない。これくらいのノリのよさ、明るさ、何かそれていく感じがちょうどいいんじゃないかなと思うんですね。内容的には、男の人と女の人の対比はいいと思います。その場で考えたのかもわかりませんし、既に目論まれたかもしれないけれども、一通りの男の人の反応、女の人の反応は出ているんですね。ここに余り重しを置くと、3つの作品は断片ですから、そういうものが何かの文脈に入っちゃうと思うんですね。これぐらい自由にした方が、この番組の空気ではいいかなということで、とてもおもしろかったですね。
- ・ショートフィルムという形式が非常に新鮮でした。一般の見ている人たちには、まだ認識がそんなにないと思うのですね。そういうものを見せてくれるので、皆さんがショートフィルムに対する見方を備え始めると非常におもしろいことになるので、そういう意味では、志向としては非常にいいと思いました。
- ・短編映画なんですけれども、これは映画じゃない。全く別のジャンルで切り分けたところでとらえた方が、こういう短いものはおもしろみも見えてくると思いまして、そんなに完成度を求めなくても、短編小説が小説ではないという感じがするように、断片的なもの、しかし、その時間に与えるもの以上のいろんなものを、ある種強烈に示していく、そういう非常におもしろい可能性を秘めたジャンルだと考えると、こういうショートフィルムのあり方みたいなものが、実際のいろんな作品を含めて、もっと知れ渡っていいなと感じました。
- ・今回は、「男の変身女の変わり身」というもとに3本をまとめたようで、いつも何か1つのくくりがあって集めているんでしょうね。そうじゃないと、全くばらばらになっちゃうでしょうね。そこに若干無理があるというか、1つ問題があるかと思います。本来は1つずつ独立した作品ということで、こういう試みは大変おもしろいと思いますが、なかなか難しい。作品を集めてくるのも難しいかもしれないし、そうやってくくっていくのも難しいかなというふうに思いました。
BS-i 番組審議会委員
- 委 員 長
- 天野 勝文 (日本大学教授)
- 副委員長
- 荒川 洋治 (現代詩作家)
- 委員
- 逢坂 剛 (作家)
- 委員
- 鳥飼 玖美子(立教大学教授)
- 委員
- 沼田 早苗 (写真家)
- 委員
- 村 和男 (弁護士)
- 委員
- 師岡 文男 (上智大学教授)