BS-TBS

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放送番組審議会

第77回

2022/06

1.

日 時

2022年6月16日(木)午後3時56分

2.

場 所

TBS放送センターS121会議室

3.

委員会の構成

委員総数 8名
出席委員数 5名

 

出 席 者

委員長  末綱隆
副委員長 出井直樹
委員   瀬古利彦
     田中ウルヴェ京
     橋口いくよ
     ※天野委員・寺﨑委員はVTR出演/古川委員はレポート提出

 

局側

相子 代表取締役社長
本田 常務取締役
中澤 取締役・番組審議会統括
鈴木 取締役・編成制作局長
高松 編成制作局編成部長
大手 総務局ライツ考査部長
山口 番組プロデューサー
川口 番組審議会事務局長
石井 番組審議会事務局幹事

4.

議 題

 

 

(1)報告事項

番組種別公表制度に基づく放送実績について

 

(2)審議事項

「X年後の関係者たち=あのムーブメントの舞台裏〜」
2K及び4K放送日時:5月17日(火)23:00〜23:54

(1)報告事項

◎局側

 2021年度下期の2K4K放送の番組種別の放送時間を報告させていただきます。
まず、2K放送でございますが、総放送時間1007時間51分、こちらを100%といたしまして、報道が76時間42分、教育97時間8分、教養100時間58分、娯楽382時間22分、通信販売346時間47分、その他が3時間54分でございます。
 4K放送のほうですが、総放送時間が928時間24分。報道が52時間、教育65時間、教養70時間10分、娯楽310時間、通信販売が428時間16分と多くなっております。その他が2時間30分ということでございます。

(2)審議事項

◎委員

 これを見て、昔からの日本の伝統的な起業の姿だったのかなと思ったりしました。今、何となく日本企業は元気がないと言われていますが、日本企業の活力を考えるという観点から、番組を見ながらいろいろな視点が湧いてくるという感じで、大変よい番組だったと思います。
 同窓会形式、それからライバルメーカーが入っていて、その方がきちっとコメントするところはよかった。変な評論家、政治番組などで素人的な評論家が出てきて、イメージが壊れてしまうことが多いと思いますが、この番組は、変な評論家を入れずに終わったのも非常にいいと思いました。今回の海洋堂の番組は、今までBS-TBSの番組を見て、一番印象に残る番組だったと思います。

◎局側

 評論家ではなくて、ライバルメーカーの方が出演しているというところで、毎回、関係者は、すんなり出演していただく方が決まることが多いのですが、立会人と称している、いわゆる第三者的な視点を持つ方、このキャスティングにいつも頭を悩ませています。カズレーザーさんがあまり詳しくないテーマもあったり、逆に詳し過ぎて誰もついていけなくて、少し説明しなくてはいけないところなど、少し視点の違う方は必要だと思っています。今回はたまたまライバルメーカーの社長でしたが、必ず、第三者的な立場の人をキャスティングして、番組に少し厚みを持たせられればというふうに思っています。

◎委員

 最初、トーク番組なので、飽きてしまうかなとか、どのように見せてくれるのかという心配もあったのですが、司会のカズレーザーさんが出演者の持ち味をうまく生かして進行していると思いました。特に海洋堂の専務、大阪のおっさんをうまく、おもしろおかしく引っ張っていたのがすごくよかった。
 ものをつくったりするのは、いいときもあれば、うまくいかないときも当然あります。それをどうやって乗り越えてきたのかというのもよくわかって、あらゆるビジネスや人生にも通じると思いました。いろんなビジネス、いろんな企業にすごくプラスになる、勉強になる、いいトーク番組だったと思いました。パネルディスカッション、生で聞きたいと思いました。
 企業からオファーというか、うちも取り上げてくれというのはあったりするのでしょうか。

◎局側

 現在、スタジオの収録を関係者以外で見ていただいて、盛り上がる回があるかということを検証しているところで、委員からいただきましたのは、まさに我々の収録の課題です。特にスポーツネタ、女子プロレスの回や阪神タイガースの回などに関しては、終わった後で、これは明らかにファンを入れたほうがおもしろかったという話になりました。今後もスポーツのネタを扱おうと考えていますが、その際には、お客さんを入れたほうがいいのかどうかというところを検討していかなければと考えております。
 企業の売り込み等も、今のところは、あまりないのですが、これまで17本つくらせていただき、先方に見ていただけるようなネタもふえていますので、番組が浸透していって、オファーが来るとありがたいと思っております。

◎委員

 この回は、企業発展史というか、市場をまさに創造していった、そういう歴史です。そこがビジネスの世界でも非常におもしろく、こうやって発展していくのかということで拝見しました。
 出てくる人たちは起業家というよりもアーチスト、それから、世間で言うところのヤバイやつらというのが出てきました。まさにそういう人たちが今度はメインストリームに躍り出ていく。それがまさに市場をつくっていく、そういう過程をあらわしているという意味で、非常に興味深かったです。
 質問ですが、テーマを決めてから収録までにどれくらいの時間がかかって、その間、どういう準備が要るのかということをお聞きしたいと思いました。

◎局側

 テーマは、幾つか同時に網を張って、月に1日、2本収録をしているのですが、大体3週間前くらいにネタを決めまして、その中で前取材という形で関係者の方たちにお話を伺っています。これでやるとなったら、もう一度構成を立てながら、今のご時世ですので、電話なりZoomなどで取材をさせていただいて、大体収録の前日か前々日にカズレーザーさんと打ち合わせをします。この打ち合わせがかなり内容の濃い打ち合わせとなっていまして、毎回、リモートの打ち合わせでやっているのですが、大体90分から120分くらい打ち合わせをしています。

◎委員

 興味深く視聴させていただきました。まず、企業の選択やテーマ設定が絶妙でした。記憶に残っているブームの一場面から舞台裏に足を踏み入れてみると、語り尽くせないトリビアが詰まっていて、一般の人にとってもマニアにとっても、退屈しない内容になっていたのではないかと思います。
 番組を視聴しながら感じたのは、人は愛するものについて語るとき、いい顔するなということです。トークのプロではないけれど、彼らの物語はとても魅力的でした。
 企業の裏話系番組にありがちな昔話で終わってないところも好感を持ちました。ブームが去った後にも、現場には現実が続いていて、現在は現在なりの課題を抱えている。その当たり前のことが、テレビではトリミングされてしまいがちです。これからどうするという最後の問いかけに、企業の現状を踏まえた上で、将来を見据えたコメントが返ってきて、前を向く企業のリアリティを感じました。
 1つ疑問に思った点は、この番組はムーブメントの裏側に何があったかを検証することが目的なのか、それとも制作者たちのトークを聞かせるのが目的なのか、軸はどっちなんだろうというところです。コンセプトの軸をどこに置くかはしっかりさせたほうが、中途半端な印象にならないのではないかと感じます。

◎局側

 番組の目的は、基本的にはトークを聞かせるというテーマでやっております。ただ、トークを展開していく上で、知らない方、もしくは昔にさかのぼらなければいけない助走として、どうしても検証という部分は必要になってきます。そこは外せないところではあるのですが、多分、バランスの問題だと思いますので、基本的には検証もしつつ、トークを中心にしたものにしていきたいと思います。

◎委員

 私は、どストライクの世代で、今の子たちより一つのモノに対してもっと熱中しやすい世代だったと思います。サブカルチャーがメインストリームみたいなところもありました。見ていても飽きなくて、ずっと聞いていたい、本当に刺さる番組でした。
 ですので、「ここはもっとああしたほうが。」というのはあまりないのですが、この番組のテーマは、過去と未来だと思います。過去に何があって、未来をどうしていくかというところで、最後に少し照明が落ちて、ガラスに字を書く。あそこで、カズレーザーさんに花を持たせていいのかなという感じがしました。レジェンドが暗くなって、カズレーザーさんが最後、持っていくというのは、「あれっ、今まで見ていた明るい光は何だったんだろう。」と、ちょっと思ってしまいました。演出として、見た後の余韻に浸るみたいなこととして受けとめるのであれば、ありなのかなと少しは思いますが、テレビというのは、人を元気にするということが何よりのテーマだと思います。いろんなことがありながらもいいんだよというところで、すっと置いていかれた感じがします。もっとわかりやすく、明るくするのはどうかと思います。あのセンスがわかる人は、意外と少ない気がします。なんか暗くなってしまったって。私も何かの演出をしたりすることがありますが、わかりやすくないと、こんなに今の人って伝わらないんだと感じます。

◎局側

 最後の部分の演出は、久々に会った方もいらっしゃいますし、同じ社内でも最近なかなか話していないという方が集まっていて、みなさん、何か後ろ髪引かれるような感じで、終わりたくない感が収録現場でも出ています。ですので、収録がどんどん押していくのが現状で、番組としては、何とか終わらなければいけないので、何となく心地よい余韻をつくるという演出で、ああいう形にしています。うまく伝えられていない部分もあるとしたら、少し検討の余地があるかと思います。

◎委員

 全体について好感を持ちました。確かにこの番組のコンセプト、何を目的にしているのかというのは最初に感じたのですが、全部見終わってからは、なるほど、これはこれでおもしろいと思いました。これを見て、一番は、どのようにしてテーマを選定するのだろうということです。アンケートか何かをとって、そういうものを吸い上げて判断をして決めていくのか。それとも、スタッフの人たちが、こういうのがあるというので決めているのか、一つ関心を持ちました。

◎局側

 テーマの選定は、我々制作スタッフと放送作家、そしてリサーチャーなどが、今年50歳の我々の世代が比較的見やすいようなものというところで、いろいろなジャンルのものを集めて、会議をして決めていますが、うちは結構ですと言われることも多々あります。どういうことかといいますと、「X年後の関係者たち」というのは既に終わったもので、衰退したイメージがあると言われました。第1回から、もう消滅してしまったもの、廃れたものを、ポンポンポンと扱ってしまったものですから、それをパイロット版で持っていったところで、現在の企業様は、いやいや、うちはまだ終わっていないということで、少し難航したところが、正直、ありました。
 その次に、「G−SHOCK」を扱ったのですが、この回は、意識をして、「G−SHOCK」がブームになったということではなく、一回衰退したときに入社をした方たちをあえて集めて、そこから今の未来に向けてという形でつくって、これがひとつ成功したパターンになったかと思います。うまくいかないものもかなり多く、今20個くらい、ネタがボツになっています。ただ、これまで17本やらせていただいた中で、幾つか、こういうつくりだったらいいと言って復活しているメーカーさんもいらっしゃいます。

◎委員

 この番組のコンセプトはいいと、タイトルでずっと思っていました。それは、今だから言えることというのはやっぱりおもしろいという点と、“誰が言うのか”です。当事者だから言えるというのはおもしろい。知名度とか名誉は関係なく、そこにかかわった人の話というのを知りたい。ここに着目した番組って本当におもしろいと思います。
 あと、やはりその人の表情がいい。人間誰しもこだわっていることの話ってすごく生き生きとお話しになります。それを見させてもらえるのは、とても臨場感がありますし、人間のよい雰囲気が見れるので、このコンセプトはすごいと思いました。
 次に、どう演出するか、ですが、赤いフリップがいまいち見にくかったです。
 最後に課題点で、この番組は、男の人がつくっている番組のような気がします。どうしてかわかりませんが、そんな感じがして、何となく疎外感なのか、男っぽいというのがよいのか悪いのかはわかりませんが、、、。ですので、こういう部分もあるということが頭にあるとよりよくなるかなと思います。
もう1つは、男とか女とか全然関係なく、番組を見ている最中に、誰のための番組かという感覚です。気をつけないと、制作側が制作に酔わないようにしないといけません。どうだ、この番組、いいだろうみたいなものが、見えてはいませんが、見えそうな気がして、もしかすると直感的に視聴者にはバレてしまう。そんなところを少し感じる気がします。

◎局側

 赤いフリップに関しましては、すみません、見づらいですね。カズレーザーさんの赤にいささか引っ張られているところがありまして、あまり深く検討しないでやってしまっていますので、それは対策を講じようかと思います。あと、本当に耳が痛いところですが、男性がつくっている、まさにそういう感じを私自身も感じております。女性にも見ていただけるテーマもやらなければいけないですし、それをやっても、今は男性色が残るような形になっているというのは、皮膚感覚としては自分も持っています。第1回目を編集したとき、それを体験した年代の人しかわからないものになってしまったので、慌てて、その時代を知らない30代のディレクターに編集してもらいました。わからない人にこの現象を切り取ってつないでみて、我々はそれを監修するといったところで工夫はしているのですが、まだそれが足りないと思いますので、年齢の分布もそうですが、そこに女性の意見や女性のスタッフ、女性のディレクターの視点というのも考えていきたいと思います。

◎委員

 この番組は「プロジェクトX」のパクリだと思いました。「X年後の関係者たち」というテーマも、カズレーザーさんが入ってきたセットも、限りなくパクっているということで、よくやるなというのが最初の印象でした。もちろん、1つのアーカイブとしてはあるのかと思いましたが、あまりにもあからさまでしたので、何となく冷めて見ていたというところです。
 パクっているということを逆にうまく最初から表に出して、アーカイブ映像だけではなくて、人間を連れてきたり、テーマも、歴史の中のエポックメイキングなものでなくて、今まで見過ごしていたようなものを、解説を入れながらでも取り上げていくことで、この番組のオリジナリティを出せるかと思いました。
 よかったと思うのは、番組の上段に進行が示されています。テーマが5つか6つ、出ていたと思いますが、あれは感覚的には新しいと思います。スタートからではなくて、どの時間から入っても、今こういうことがテーマとして放送されているというのがわかります。今の人には受け入れられるのではないかという気がしました。
 あとは、リモート出演とか、昔にはなかったものをうまく組み合わせて、制作する人たちの思いを最後にまとめていくという形は、もっといろんな応用があってもいいと思いました。
 この番組をBS-TBSの中で中軸的な番組にしようと思うのであれば、もう少し早い時間帯で、オンサイトのライブでとんでもない発言が出るようなことも受容する番組、この番組を見た人だけが共有できる事実みたいなものを持てるような番組、その中に、プロの映像技術が見え隠れするような、機材だったり、撮り方だったり、なるほどとうならせるような部分を入れて、パクリだと言われつつ、「プロジェクトX」を脱却したような番組に変えていくという意気込みがあるといいと思います。今のままだと、パクリで終わります。

◎局側

 「プロジェクトX」のパクリというご意見につきまして、昔の功績やこういったものを回顧する番組の代表作として「プロジェクトX」はあると思います。もちろん、まねをしているつもりはないのですが、取り上げるテーマをやわらかくしたり、トーク中心の構成だけで差別化が図れるのではないかと思って、今やっています。それだけでは足りないというアドバイスだと受けとめていますので、委員もおっしゃったような、アーカイブに頼ることではなく、当事者にせっかく来ていただいているので、生々しい会話ですとか熱量、そういったものを極力紹介して、差別化を図れるようにしたいと思います。

*BS-TBSでは、番組審議会委員のご意見を真摯に受け止め、今後の番組内容の向上に活かしていく所存です。