第33回
2011/03
2011年1月31日に第33回BS-TBS放送番組審議会が開催されました。審議会委員は8名が出席され、BS-TBS側からは平本社長以下8名が出席致しました。
第33回の審議会は、テレビ番組「BS-TBS開局10周年記念日特別番組 第Ⅱ部『関口宏のメディアの旅』」について審議を行いました。
放送日 | 2010年12月1日(日)18:00~20:54 |
委員からは以下のような意見・感想がありました。
- ・野際陽子さん、黒柳徹子さん、中村メイコさんなどテレビの草創期のある種の物すごいエネルギーが吹き荒れていた時代を生きた人たちの肉声が聞けたことが良かった。彼女たちだからこそ言えることもあったのだと思う。
- ・関口さんの語り方の魅力というのはやっぱり安定しているし、すごく強いなと思った。メディアの歴史という大きなテーマという点では、初期のテレビに近いつくり方というのもとてもおもしろい選択だなと思った。全体として大変語りの楽しさが生きていて、退屈せずに3時間を見られたと思っています。
- ・メディアというのは基本が人とのかかわりだというところがいろんな形で伝えられていたなと思うし、その辺がBS-TBSの1つの放送に対するスタンスという意味で、健全な精神状態でこの放送局は10年というタームを迎えたのかなと思った。
- ・1点気になったのは「素人にしゃべらせるというのはね」という言及があった。「素人にしゃべらせる」「間(ま)を持たせるためにいろんな人にいろんなことをいわせるとかね」というふうな、そういう言い方をしたんですが、生だからカットできないというのはあるんでしょうけれども、「素人にしゃべらせる」といわれると、私もそういう意味では素人だと思って見ていますので、そういう意味ではちょっと耳にひっかかった。
- ・メディアとはというところで、出演者のひとりが「夢だ」とおっしゃった。あそこのところは今でも響いている。メディアは真実を伝えるのが当然だけど、つくるときに必ず夢というものを持ってなければいけないんだろうなと思った。
- ・この3時間の中で、BS-TBSはこういう放送をやっていくんだというメッセージがもうちょっと聞きたかった。それこそ夢というようなところですね、そういうところを、もっとこういうんだという押し出し方があると、心強かったかなという感じを持ちました。
- ・さまざまなメディアが出てくる。それぞれ当初は非常に新しいメディアだった。その中で先人の方々がどういうチャレンジをして、メディアに対して熱い思いを持って全力で駆けてきたのかということが非常に良く見えて非常に新鮮でした。
- ・メディアに携わる人がどういうふうに見ているのかという建設的な批判をこの番組でされているんじゃないのかと思いました。
- ・まずテレビを見て驚けるものがある、知的な好奇心を満足させてくれたという意味で非常にいい番組だと思った。
- ・番組のコンセプトが明確だった。関口宏さんとスタジオのコメンテーターの人選、インタビュイーの人選、インタビューのときに発言のキーワードが的確なテロップで流されていたりしたこともコンセプトが明確だったからだと思った。関口宏さんも、コンセプトというのはよくおわかりになっておられての進行だし、またメディアというものにいろんな場面で携わってこられたご自分の実感があるから出てこられた方々とも共通体験が幾つもあって、会話なども非常に自然で安心して見ていられた。
- ・日ごろの番組って雑音めいた音と不要なテロップが多いと思うのですが、今回の番組は不要なテロップがなく、キーワードだけきちっとメッセージとして出していることと、不要な音楽がなかったということは、むしろ人の声がよく聞こえてきた。
- ・出演する方々も現役でいらして、その方たちの口から直接お話を聞けるというのは、とても速い速度でメディアの姿が変化しているのだなという感じを受けました。そしてこれからもっと速く変化していくんだろうなと想像しましたが、その進歩についていけない自分がいるのも実感させられました。
- ・テレビは行儀が悪くなったというコメントがありましたけれども、確かにそのとおりなんですね。例えば「シャボン玉ホリデー」とかは当時は随分お行儀悪いなという感じだったが、それが今になって思うとそうではない。お行儀悪い中にも、含羞の思いが出ていた。ところが今全くそういう含羞のにおいがない。行儀悪いという以前に傲慢になっているというのかな、テレビ出てくる人がだんだんそうなってきちゃっているという気がする。特にバラエティ番組なんかだと我が物顔にみんなはしゃいでいて視聴者がどこにいるのかわからない。それは非常に残念なことなんですけれども、これは今さら直せといっても直らないだろうと思いました。だから今後どうなるのかについてはどうも余り明るい展望が見られなかった。地上波はもうだめでこれからはBSとCSの時代だろうと思います。
- ・新聞の歴史から始まって3Dのあたりまで極めて限られた時間ではあるんでしょうけれども、メディアというのは一体何なんだろう、何で、どうやってできて、なぜ世の中に存在する価値があるんだろうかということを、もう一回放送局の皆さん自身が自らに問いかけていく、その姿勢が物すごく伝わってきましたね。10周年を記念してこういう番組をつくるというのは、やっぱりBS-TBSさんだなという、そういう思いを非常に強く感じました。
- ・本当に10周年にふさわしいすばらしい番組で、メッセージも出ていましたし、もう一回この歴史を振り返れたというのは非常によかったと思っています。進行のテンポがいいですし、取材も非常によくできていまして、ネタがいい。初めて知った事実がある。やっぱりヘーッがないとテレビはおもしろくない。新しい驚きをちゃんと出してくれた。
- ・やっぱりテレビとスポーツは実は物すごい関係があったはずなんですけど、スポーツ番組ということについての扱いが全然なかった。その辺の扱いが1つもなかったなというのは、ちょっと腑に落ちない。
- ・それとあともう1つは、なかなかやりにくいことかもしれませんが、TBSとしては例のオウム事件、テレビの持っている力とか怖さとか、テレビの10年、特に歴史の中で、あのオウム事件というのは、やっぱりTBSだからこそ、実は本当は表に出して検証するようなところがあってもよかったのかなと思いました。
- ・3Dのにぎやかな紹介は要らない。こういう時代が来ますよという話でよかった。テレビがこれからどうなるかというお話が、やっぱり究極は、筆であらわせないものをあらわすのはテレビなんで、テレビでしか見れないもの、自分が行かれないところの映像を見せてくれるもの、やっぱりそこが最後まで生き残るわけで、そういう情報は欲しいわけで、その辺をどこまで追求していけるか。技術だけに走っていっても余りそれはおもしろくない。中身、コンテンツが本当にヘーッというものと、ああ、これはよく見せてくれた、自分じゃ絶対見れない映像だというものが、最後までテレビの中では生きていくというような気がしています。
BS-TBS番組審議会委員
- 委 員 長
- 師岡 文男 (上智 大学教授)
- 副委員長
- 村 和男 (弁護士)
- 委員
- 逢坂 剛 (作家)
- 委員
- 沼田 早苗 (写真家)
- 委員
- 野間 省伸 ((株)講談社 代表取締役副社長)
- 委員
- 成田 康昭 (立教大学教授)
- 委員
- 篠原 弘子 ((株)プレノンアッシュ 代表取締役社長 )