「再会の食卓」
2011年2月5日(土)
TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamura ル・シネマ他にて全国順次ロードショー
私は食に関する映画は大変興味があるのでタイトルに惹かれて観たんですが、大事なのは食ではなく食卓なんだと改めて気付かされました。想像していた内容とは違ったんですが内戦という悲しい歴史の中で翻弄されてきた人々が唯一笑いながら時を越えて時間を共有出来る場所が食卓で、その食卓共に囲むことの重大さを感じました。
悲しさを押し殺しながら食事に夢中になったふりをして黙々と食べ続けるのも、初めて感情を剥き出しにしてしまうのも、全てを理解した上で泣き笑いと共に歌い、飲み、食するのも、全て同じ食卓…そこにあるのは‘愛’のみで、その‘愛’の様々な形にハッとさせられました。時には切なく、やるせない気持ちにもなりました。ひたすら相手の幸せだけを願う愛、激しく情熱的に愛する愛、愛情、家族愛、兄弟愛…愛し方は違えど、どれもが本物であるが故に、余計に歴史に翻弄された人々に同情しました。ただ、一方で事実は変えらる訳が無く、現実と向き合いながら逞しく、そして、ある意味淡々と全てを受け入れながら生きている本当の姿を自然な形で描いていて考えさせられる映画でした。ハリウッドのようなスピーディーな展開や派手さには欠けるが、かと言って観終わった後に沈んだ気持ちになるでもなく、新鮮な手法で今の中国を見事に表している感じがして良かったです。
特に本人達の意思とは関係なく奇妙な三角関係に陥ってしまった三人の大人が食卓を囲みながら歌うシーンは、楽しげな画面であるにも拘らず切なくて泣きそうになりました。結婚写真を撮るシーンも…。
中国映画の新たな一面を見て今後が楽しみになりました。