BS-TBS

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放送番組審議会

第90回

2025/10

1.

日 時

2025年10月7日(火)午後3時59分

2.

場 所

BS-TBS会議室

3.

委員の出席

委員総数  8名
出席委員数 7名

 

出 席 者

委員長  出井直樹
副委員長 古川柳子
委員   寺﨑明
     橋口いくよ
     斉藤実
     大友克之
     秋元里奈
     ※瀬古利彦委員は録画出席 

 

局側

伊佐野  代表取締役社長
杉浦   取締役
森井   取締役
平賀   コンテンツ編成局長
貞包   番組プロデューサー
辻    番組審議会事務局長

4.

議 題

 

 

審議事項

テレビ番組
 「報道1930スペシャル 日本人と“軍隊”
〜いま見つめる戦後80年の自画像〜」

放送日時:2025年8月31日(日)夜7:00〜8:54

5.

審議内容

午後3時59分 開会

◎局側

  本日、ご審議いただきます番組は、8月31日(日)に放送させていただきました、「報道1930スペシャル 日本人と“軍隊”」でございます。
  戦後80年の年に、自衛隊の存在について、大学生たちが、「意見を持つことが怖くて、議論自体を放棄したほうが傷つかないのではないかと思う。」、「世論の分断を深めているのであれば、最初から興味を持たないほうがいいのでは。」と話していて、私自身も自衛隊をしっかりと考えてないということに気づき、今後も平和を貫くために、日本が戦後見てこなかった自衛隊という存在と、国を守ることを考えるきっかけを、視聴者の方に渡せたらと思ってつくりました。

◎委員

 日本とドイツの比較や、自衛隊員と国民の意識の対比が顕著に描かれており、すごくいい問いを投げかけていただいている番組だと感じました。国際社会の中で平和国家であることと、現実的に自衛隊や安全保障を考えることが対立する問題ではないとの発言が印象的でした。
 最後の場面で98歳のおじいさんが出てきて、孫が空襲の話を聞いてくれないと話をされ、物すごく平和な日本の描写の部分を見たときに、ぐっと心をつかまれました。あのような話がもう少し前に出てきてもいいような気がしまして、最後にされた背景を伺いたいと思いました。

◎局側

 エンディングについては、みなさんがどのようにご覧になるかわかりませんので、戦争はだめだということを、あまり声高に言わず、見終わった後の読後感で持っていくような制作にしました。

◎委員

 私たちは自衛隊の何を語り、何を語ってこなかったのかという、実は古くて新しい議論に挑み、自衛隊を考えるきっかけになったと思います。周辺外部環境の変化へ対応していかなければ、いかに力が強くても、生き残ることは難しいと思いますので、こういう議論は、8月という節目に行うことは、タイムリーでした。
 自衛隊の明確な位置づけの必要性は、すぐ護憲だとか改憲だとかいうところだけに収れんします。例えば今回取り上げたドイツ憲法は基本法ということで、戦後の先進国では憲法改正の回数が一番多く、機動的に憲法改正をしています。アメリカも含めて憲法を動かしてない先進国は日本くらいですので、その辺りはもう少し突っ込んでもよかったと思いました。
平和であったほうがいいですけども、新しい国際秩序が変化しつつあるところですので、こういう問題提起の中で、若い人たちにもわかるように、自衛隊員の現状や、自衛隊員の家族の思いなどを伝えながら展開されたのはすごくよかったのかなと思います。

◎委員

 この番組は中立で、自衛隊を軍隊と言いたいわけでもなく、でも軍隊であったりもするというところを、いろいろな角度から材料を用意し、私たちでどう捉えるかを考える立体的な番組だと思いました。
 日本人は愛国心がわからなくなっていますので、愛国心とは何かをもう少し深掘りして、例えば自衛官の方や、そのご家族の方に聞いてみてもよかったかなと思いました。議論すら難しいものを、いろいろな角度からいろいろな人に見てもらえるようにつくった点はすばらしかったです。

◎局側

愛国心に関して、もし戦争が起こったら、国のために戦うかという各国比較があり、
日本が最下位で、「日本は愛国心がないのか。」という思いに至りました。日本は今、国を守ることにあまり意識がありません。
自衛隊に入ると、いざというときは我が身を投げ出してやるということを宣誓させられます。つまり、自衛隊員は、自らの仕事は災害救助ではなく、国を守るという意識を持っています。他方、一般市民は、自衛隊の任務を災害派遣と答え、「戦争になってきたら?」「ああ、そうですね」みたいな感じです。このような状況から、国を守ることをみんなで考えたらどうなるかと思い、今回の企画ができあがりました。

◎委員

 TBSがこのタイトルを取り上げているものの、結構無難におさめてあるなと思って驚きました。
 付加的に申し上げたいことは、今の日本の制度は、他国では一つもないと思っており、なぜ今の日本の制度ができたかという歴史的な事実があるとよかったのかなと思いました。
 愛国心という言葉が出ましたが、本来、国家とは一体何なのか、国家にはどういう機能が必要かというところからひもといて、自衛隊の位置づけみたいなものまで論理的に説明してみるとおもしろいのかなと思いました。

◎局側

TBSは、定型のリベラルに割と陥りがちです。日々我々の中にもいろいろな主義主張がある中で、リベラルでないといけない空気というのがこの会社にはあるように思いますが、比較的自由な社ではあると思っています。
 ですから、今回は戦後80年ということもあり、定型のリベラルから、自分たちがもう少し自然に物を見て、ありのままを出してみたいという思いがありました。

◎委員

 戦後80年、我々が見てこなかった自衛隊の意義や役割に真正面から向き合った、すごく意欲的な番組で、この番組をつくられたことに敬意を表したいと思います。
コメンテーターの方々が少なくとも自衛隊を肯定されている方ばかりでしたので、議論が成り立ったと思いますが、局内でそこは議論がなかったのか、リベラルな方々からのご批判がその後なかったのかを教えていただければと思います。
 防衛大学の教本に軍人勅諭とか教育勅語が載っていますと、防衛省もそれはそうですと言って、戦前の軍が置かれた状況を理解するためのものということだったと思いますが、問題はその資料を使って何を現職の自衛官や防大が教えているのかであり、もう少し丁寧に説明したほうがよかったかなと思いました。
 警察官は、それが愛国心かどうかわかりませんけれども、守るべき存在である国民が危険に瀕したら、それは身を投げ出してでも守るということを教えられています。

◎局側

  リベラルの方からの批判は私のところにはあまり届いていません。自衛隊の方からすごく感謝をする声が届きました。
 防衛大学校の教本に関しては、教育勅語や軍人勅諭など、いけないものと教えるために、歴史としてあそこに載せていると思い、いろいろと取材をしていたのですが、そうではなさそうであるという思いに至りました。

◎委員

 ドイツと日本というバックグラウンドが似た国を参照点としながら、現在の日本を考えるというのは妥当な視点だと思いますが、もう少し比較の精度を上げたほうがよかったかなという気がします。
 ドイツの「制服を着た市民」の話は、「市民」が大事だと思います。日本で考える市民と全然意味が違い、自分たちの国をつくっていく責任と義務がある存在としての市民になり、このバックグラウンドなしに比べると、若干誤解を招くと感じました。
 また、ドイツの軍備を考える際、旧東ドイツ的な要素、つまり分断されていた国家という立ち位置で見ておかなければいけないと感じました。
 最後のところで軍隊と政治と国民が信頼し合うことが大事ですねというお話がありましたが、今の日本で一番問題なのは、そこが信頼し合えないことだと思っています。昔のトラウマみたいなものを払拭しながら、何を守る軍隊なのかをきちんと議論していくことが大事だということと、戦争を起こさないための方法論を議論した上での軍備であることがベースにあることは忘れてはいけないと思いました。

◎局側

 比較の精度を上げたほうがいいというのはその通りだと思いました。

◎委員

 昭和100年、戦後80年で、このような番組で戦争や軍隊、自衛隊を議論することは大事なことだと思いました。特に戦争を知らない若い世代には知ってもらいたいと感じました。
 今、ロシア、ウクライナ問題など、戦争危機が身近にあるのに、日本人は遠い世界の話と構えているように思います。ドイツの軍隊の「強いと侵略を抑止し、弱いと侵略を許す」という言葉が特に印象的でした。この番組で自衛隊のことを理解でき、自衛隊だけでなく我々国民が皆で国を守るという気持ちになれた番組でした。

◎委員

 今回よかったと思ったのは、戦後80年ということで、自衛隊というところに焦点を当てたところが、企画の絞り方としてよかったと思います。
 全体的に見ると、それほど政治色を出さずにまとめられていたと思います。靖国問題も取り上げましたが、靖国問題もそんなに深みにはまらないで取り上げられていたかなと思います。自衛隊の問題になると憲法問題が出てくるのですが、そこもあまり入らなかったので、どこまで政治的なものを取り上げる、あるいはどこまで入り込むのかというところを、プロデューサーとしてどのようにお考えになったのかお聞きしたいです。

◎局側

 政治色をどこまで出すかについては、例えば憲法9条を守るべきか、自衛隊を認めるかの話をしたときに、戦争の肯定派と否定派の議論はずっと交わらないので、その部分は外そうと思いました。

◎委員

 政治的なことは避けるべきという議論は多いですが、制度や事実は政治的な論争のもとに決まっていますので、決まった結果については、見直すときはそれを理解した上でないと変えられないですよね。その意味で、過去の歴史、決まったときをもう少し見返すべきだと思いました。

◎局側

自衛隊の成り立ちは、最初もう少し入れていたのですが、尺もない中で削っていきました。自衛隊が最初にできるときに、日本が軍隊を持つことの議論なく、おそらくアメリカから言われてできたもので、そのまま普通のことのようになっていったのではないかと思います。

◎委員

 命令に従わない軍人と政治に従わない軍人については、もう少し誤解を受けない取り上げ方が必要だったのではないかと思います。軍隊は組織ですので、上官の命令に従わない軍隊は本来あってはならない話ですが、国際人道法とか戦時法規違反、この命令には従ってはいけないのです。誤解を受ける取り上げ方だったと思いました。

◎委員

 人を殺すこと自体は戦争では適法とされています。ただ、戦争の中でもいろいろな規則があり、それに反してはならない。そのときに上官から命令されたということは、今の国際法では許されないのですが、どうしても上官の命令に従わざるをえない空気があることが問題ですかね。

◎局側

 いろいろとありがとうございました。今回の皆様のご意見は、今後の番組づくりの参考にさせていただきます。

 午後5時46分 閉会

*BS-TBSでは、番組審議会委員のご意見を真摯に受け止め、今後の番組内容の向上に活かしていく所存です。