BS-TBS

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放送番組審議会

第87回

2024/12

1.

日 時

2024年12月20日(金)午後3時59分

2.

場 所

BS-TBS会議室

3.

委員の出席

委員総数 8名
出席委員数 8名

 

出 席 者

委員長  出井直樹
副委員長 古川柳子
委員   瀬古利彦
     寺﨑明
     橋口いくよ
     斉藤実
     大友克之
     秋元里奈

 

局側

伊佐野 代表取締役社長
本田  常務取締役
森井  取締役
平賀  コンテンツ編成局長
笠原  番組プロデューサー
辻   番組審議会事務局長

4.

議 題

 

 

審議事項

「関口宏のこの先どうなる!? #29『肉』」
放送日時:2024年11月17日(日)12:00〜12:54

5.

審議内容

午後3時59分 開会

◎局側

 本日、ご審議いただきます番組は、11月17日(日)に放送いたしました「関口宏のこの先どうなる!? #29『肉』」です。
 番組自体はこの4月から始まりまして、9か月目です。関口さんが、「世界は一体どうなるんだろう。この世の中、よくわからないことが多過ぎる。そういうことを1つ1つ知りたい。学びたい」という、知的好奇心のある関口さんの熱量でこの番組が生まれました。

◎委員

 構成もすごくよかったです。何だかわからないけど、みんな不安であることが溢れていて、一緒に考えませんかという視聴者の立ち位置を決めてくれるのがありがたかったですし、関口さんの立ち位置の見え方がよく見えました。
 テレビは、私たちが体験できないことをかわりに体験してくれます。例えば高くて買えないとか、憧れているけど行けないとかを疑似体験させてくれるという部分がありますので、その観点からも、関口さんには何か召し上がっていただきたかったです。高いものは無理としても、オーストリッチ肉や大豆ミートなどを食べて、感想を言われると、初めて関口さんを通した世界が見えてくると思います。毎回、体験コーナーを設けてもらうことで、疑似体験ができるとよいと思いました。

◎局側

 関口さんに体験してほしいというご意見について、それは本当にそのとおりだと思います。今回に関して言うと、培養肉は安全認可の問題で試食できず、大豆ミートは、過去に別の回でやったことがあったので、その絵をワイプで入れました。ダチョウ肉はあったかもしれないと思っております。関口さんが少し体験して、何か感じたことを言われるみたいなご意見は、今後に生かしたいと思います。

◎委員

 肉という問題にターゲットを絞って、様々な問題を1時間でまとめてあり、いい番組だと思いました。特に、牛のゲップの話は初めて聞きましたので、わかりやすく説明してくれたという感想を持っています。
 1つコメントすると、肉が危ないという内容でしたが、食料全体危ない状況にありますので、今回はこういう理由で肉に絞りましたという説明があるとわかりやすかった感じがしました。
 牛のゲップの問題とCO2の問題などは環境問題との結びつきがありますが、一度、CO2が本当に環境に問題を生じさせているのかについてやっていただくといいと思います。

◎局側

 今回、肉をテーマにしたことについてですが、食料全体が危ないので、過去にも米や日本酒など幾つか食料問題をやっており、今後も多分幾つかやると思います。
 牛のゲップとCO2の問題について、20、30年くらい前にありましたアマゾンの熱帯雨林を伐採して、そこに牧草地をつくることでCO2が吸収されなくなるみたいな話になりがちですが、牛はCO2ではなくてメタンを発生して、メタンはCO2の二十何倍も環境によくないのですが、その点がどうしても混同されてしまって、視聴者に勘違いされているようなところもあるかもしれませんので、もう少し丁寧にやるべきだったと思います。

◎委員

 今回、誰もが大好きな牛肉がテーマということで、僕自身も興味深く見させていただきました。関口さんが視聴者目線でコメンテーターに問いかける手法は、内容を理解しやすくしてくれていると思いました。関口さんがコメンテーターに問いかけていることは、ご自分の考えでやられているのかについてお伺いしたいです。

◎局側

 簡単な台本はありますが、関口さんご自身で自発的に言われることが多いです。今回の場合も、多分半分以上は関口さんの主導で自発的に言われています。

◎委員

 最初に日本の肉食の課題で、焼き肉屋さんが潰れているというので引き込まれましたが、焼き肉屋店が潰れているのは、円安の問題とか、コロナ給付金が打ち切られたなどほかの理由で潰れている部分もあるので、肉不足を理由に持ってくるのは少し違うとも思いましたが、私は引き込まれたので、狙いは当たったように思います。
 本当に肉不足が深刻な課題だとすると、シンガポール政府が培養肉の業者に補助金を出しているなら、日本政府は何をしているのかという視点も必要だったと思いました。

◎委員

 関口宏さんとの対談形式ということで、背景も非常に優しい色使いですし、関口さん自身の穏やかな語り口も、安心した感じで見させていただきました。
 タンパク質は6年後の2030年から需要と供給のバランスが崩れ始めると説明が入りますが、世界人口の推移を2100年までのグラフを出し、次に、「世界で急増する畜産物需要」のグラフを出して、2010年と2050年を比較していますが、この2つのグラフのみで、2030年の需給のバランスが崩れることを読み取るのは少し難しく、需給が反転するというグラフが1枚ないと説明としては難しいと思いました。
 また、「世界の食肉の消費量」の縦軸はドルベースで消費額の推移を示していましたが、消費量を議論したいなら、重さで出していくべきだったと思いました。
 「屠畜」という表現がありましたが、視聴者には「屠畜」は聞きなれないと思いますので、テロップやキャプションを入れるとよかったと思いました。

◎局側

 誤解を生むようなグラフになってしまったと思います。後で議事録を見させていただきながら、精査したいと思います。
「屠畜」、言葉の問題は確かに補足のテロップとかが必要だったかなと、今おっしゃられたのを聞いて思いました。

◎委員

 今回取り上げられた技術がかなり先進的な技術で、業界内でも賛否があると思いますが、関口さんの「大歓迎というわけにはいかないな」などの率直なコメントが、視聴者の見ている側からすると安心するコメントだったと感じております。
 従来の畜産業の雇用などの配慮も番組内で触れられていました。
 今の培養肉の技術が環境負荷は低いとされていますが、生成過程でエネルギーの消費量が多く、温室効果ガス排出削減効果は実際のところどの程度あるのかは議論が続いていることや、実用化されていないこと、各国の規制も整っていないことなど、まだ新たな取り組みであるという温度感が伝わっているかという点は、少し不安に思いました。
 ダチョウはセンシティブな動物で、ダチョウに適する環境が少ないことや、1羽当たりから取れる肉の量が牛に比べると限定的みたいことなどの課題にも軽く触れられるとすっきりするように思いました。
 真ん中の立ち位置の人がもう1人いてもいいのかなと思いました。未来志向型の2人と、関口さん、まだ理解できないみたいな人、視聴者に寄り添いつつ、ダチョウだったら食べてもいいかもくらいの感じの人など。

◎局側

 培養肉がゴールというわけではなく、1つの可能性として挙げています。また、培養肉をフェイクととるか、肉の細胞からつくっているので本物ととるかについて、人それぞれの感じ方もありますし、関口さんは、「でも俺はちょっとな」と言われ、それがある種、視聴者の率直な感想なのかもしれないなと思います。
 関口さんのポジションは、MCをしながら、聞き役であり、リアクターでもあり、自由にやっているというところがいいと思っています。構成作家を出して、一番中身がわかっている人に展開させたいというのは、関口さんの希望です。専門家がはまるときと、そうでないときは確かにありますので、そこは今後も考えていきたいと思っております。

◎委員

 代替肉や大豆肉のレベルと、培養肉は、レベルが変わったと思います。バイオ技術が入ってきているので、このままやって本当にいいのかなと感じる部分もありました。これが将来の解決の1つみたいな感じの位置づけにならないよう気をつける必要はあると感じました。
 今回のことだけではなく、今現在まだ議論のある技術を扱っていくことになると思います。その際に研究者を呼んでくることになりますが、アカデミズムの世界でも議論があるときは、誰がどのポジションでそれを語るかということによって、その技術がどういうふうに見えるか変わるため、それをジャーナリズムがどういうふうに扱うかという点が、今後大きなミッションになると思います。

◎局側

 今回は、呼んでいる専門家の先生が培養肉の最先端の研究者ですので、どうしてもそちらの印象が強くなるとは思います。ただ、別に培養肉がゴールというわけではなく、1つの可能性として挙げています。

◎委員

 大事なのは、将来を見据えてというのがこの主題だと思いますので、未来を見据えて取り上げていただいているということだと思います。この種の問題を検討するときに、技術面、コスト面、これは食品ですから味の面ももちろんあります。あとは安全性の面ですね。安全性の面は、もう少しフォーカスしてもよかったかなと思いました。安全性についても様々な議論があるのですが、今回培養肉をまだ食べていないのは、これは安全性のクリアをしてからじゃないとだめだということにあらわれているのですけれども、どういうプロセスで安全性の問題をクリアするのかくらいはもう少し深く言ってもよかったかなと思います。

◎局側

 安全性についての配慮はもう少し丁寧にやるべきだったと思っています。

◎委員

 構成作家について教えていただければと思います。
 また、テーマの選び方をどうされているのかということと、この番組をつくり込むのに、番組のテーマ選び、企画、取材、撮影、編集とどれくらいかけていらっしゃるのか。特に関口さんとの打ち合わせを何日前にどれくらいの時間、やられているのか。

◎局側

 構成作家は、番組をどういう流れで展開するか、その構成を考えて、台本をつくる方です。テーマごとにアナウンサーのセリフ、CM、こういう絵が出る、こういうVが入るなど、全体の流れを整理しています。テーマの選び方は、毎週この番組の会議があり、スタッフがテーマを幾つか出して、関口さんが、自分の興味があるものをピックアップして決めていく。制作期間は、テーマを決めて、収録するまでに1カ月くらいです。

◎委員

 「この先どうなる」では、10年先、20年先はどうなるかというところを問題視して、視聴率が稼げるかどうかわからないですけれど、やり続けていただけるといい番組だと思います。ぜひ頑張っていただきたいと思います。

◎局側

 本日、皆様に貴重なご意見、ご感想を賜りましたこと、本当にありがとうございます。いただいたご意見は、今後の番組制作に生かしていただければと思っていますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 午後5時27分 閉会

*BS-TBSでは、番組審議会委員のご意見を真摯に受け止め、今後の番組内容の向上に活かしていく所存です。