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放送番組審議会

第76回

2022/03

1.

日 時

2022年3月9日(水)午前10時

2.

審議方法

今回の審議会は、新型コロナウイルスの感染拡大防止の為、リモートでのオンライン審議で行った。

3.

委員会の構成

委員総数 8名
出席委員数 7名

 

出 席 者

委員長  末綱隆
副委員長 出井直樹
委員   瀬古利彦 寺﨑明 古川柳子
     田中ウルヴェ京 橋口いくよ
     ※天野委員はVTR出演

 

局側

相子 代表取締役社長
本田 常務取締役
中澤 取締役・番組審議会統括
鈴木 取締役・編成制作局長
高松 編成制作局編成部長
大手 総務局ライツ考査部長
王堂 番組プロデューサー
川口 番組審議会事務局長
石井 番組審議会事務局幹事

4.

議 題

 

 

(1)審議事項

「憧れの地に家を買おう」
2K及び4K放送日時:1月31日(月)23:00〜23:54

(1)審議事項

◎委員

 リモート取材のいいところを有効に活用しているということで、コロナの中での1つの形をつくられたかと思います。現地のプロフェッショナルなバイヤーの方の丁寧な説明で、3つ物件の紹介をしていただきましたが、それぞれ価格だったり特徴だったり、番組として見ていて、憧れとか現実感とか、庶民からすると手が届かないけれど、こういうものも海外にあるんだという1つの形を見せてもらえて、番組としては非常にまとまっていたと思います。
 ただ、番組の内容と全体のイメージが、他のアジアのリゾートなどを紹介する番組にかなり似ていて、両方見ている人は、つくりが同じではないかとの印象を持つと思います。何かひとつ脱皮するところがあったほうがいいと思います。

◎局側

 旅行の企画はたくさんありますが、海外に行って、観光情報より生活目線でその国が見えるというやり方、ここで言えばスーパーマーケットの紹介とか、そういったところももっとリアルに入れていくことで、ほかの番組との差別化は図れると思っていました。委員がおっしゃったのは、恐らく最後に価格を当てて、そのスタイルが似ているということだったと思いますが、確かに最後に価格を当てて終わりみたいなワンパターンは、まだ改善の余地があると思っております。

◎委員

 番組自体は気楽に、心地よく見ることができたというのが第一の感想です。
お聞きしたいのは、住むといっても、移住するのか、あるいは別荘、セカンドハウスとして買うのか、あるいは転勤等で一時的に居住するために買うのか、それによってかなり違ってくると思うのですが、番組をつくる場合の目線として、どういうターゲットを考えているのかということをお聞きしたいと思います。

◎局側

 誰に向けて放送しているのかということですが、実際には少し女性の視点を意識したつくりを心がけています。テロップの雰囲気とか、どちらかというと女性的なつくり方をしています。ただ、実際には男性の方もたくさん見ていただいているようですし、正直、あまりターゲットという意識はしておりません。むしろ生活感のない中学生、高校生が見ても、海外の生活ってこんなだと思えるし、ただ単にうらやましがるという、そういう見方をしていただいてもいいし、50代を過ぎて、海外に今から引っ越すなんてあり得ないという方も、こういう世界もあるんだと今さらながら感じていただくという見方もあるかと思います。どこの物件であれ、自分の生活を見直すというか、今後をいろいろ考える材料にもなってほしいと思っています。

◎委員

 せっかく武井壮さんを使うのであれば、彼はアクティブな人間なので、しゃべってるだけでは何かもったいない。当然ながら、向こうに行って取材すれば一番いいのでしょうが、それができないということであれば、朝食などを、スタジオで食べてみて実感してもらうとか、何かそういうことがあってもよかった。もっとアクティブにやってもよかったと思いました。

◎局側

 武井壮さんは、もっとアクティブな方なのに、ただ話しているだけというのは確かに感じております。何かできることはないか。もちろん、ロケに行くのが一番いいと思っています。コロナがもう少し落ちついたら、武井さんに実際に現地に行っていただいて、本当に買うというようなドキュメンタリーができたら最高と思っています。ただ、スタジオでももう少しアクションがあったほうが、より楽しめるかという気がしています。

◎委員

 この番組は、取材班も現地に行っておらず、番組制作のコスト削減効果から見ると、見本番組だと思いました。番組に登場する人も不動産業者なので、番組に出演している方からも出演料をいただけそうです。今、コロナ禍で旅番組がなかなか難しい中、結果的にすごいコスト削減で番組ができたのかと思いました。
 また、日本は島国なので、グローバルにもっと興味を持ってもらうという意味で、非常に意味があると思います。不動産だけでなくて、グローバルな人たちは何を考えて生活しているのかというのも少し見えてくると、おもしろいと思いました。新しいライフスタイルを提供するような、そんなイメージを出すといいと思います。

◎局側

 夜11時の番組ですから、それほどコストをかけられるわけでもありませんし、いかにコストをかけずに番組をつくっていくか、しかもあまり安く上げたと見せずに制作しなければいけない、というところが大きなテーマです。コーディネーターを通していろいろリサーチをしているのが基本です。
 何回かは日本の外資系の不動産会社を直接訪ねまして、こういう番組をつくっているのでぜひ協力してくれといったこともあります。例えば、今度ハワイでこういう番組をつくるので、協力していただきたいと言うと、いろいろ物件を探してくれたりといったこともありましたので、もしかしたらコストの面でもいろいろ展開は考えられるのではないかと思っています。

◎委員

 今回の番組については、非常におもしろい発想だというのと、海外事情も、不動産だけの問題ではなく、住んでいる人の紹介や、レストランとかカフェとかの生活事情も紹介されているので、紀行バラエティとしておもしろいという感じがしました。勉強にもなりますし、この取り上げ方はグッドアイデアだと思いました。
 海外版も非常にいいのですが、Uターン、Jターンを地方はかなり推薦していますので、地方の自治体とタイアップしたらかなり喜ばれます。海外だけではなくて、国内版の紹介をぜひやっていただければいいと感じました。

◎局側

 今はまだ海外にばかり目が向いていて、国内は、一度だけ軽井沢でやったことがあります。軽井沢は別荘地だけあって、すてきな物件が多く、豪邸過ぎると思った物件もありましたが、現実的なところも紹介して、こんなすてきな別荘があるんだと思いました。軽井沢の不動産業者の方とは多少関係ができたのですが、あまり地方自治体というのは考えていませんでした。決して国内をやらないということではないので、もっと国内でのやり方を考えていくこともひとつあると思っております。

◎委員

 こういう番組は、見るだけで楽しめるので、20億の家とかも見れるものです。本来、我々が見に行けない、あり得ないような規模感のものを見て、世界を知るという意味でも興味深いと思いました。スケールの違うエステートを見たいと思いました。
 今まであまりほかの番組で見たことのないものとしては、例えば、車椅子だと入りにくい砂利ですとか、これは車椅子の人でも入りやすい通路ですとかの多様な人のアクセシビリティです。ヨーロッパは石畳が多いので車椅子は難しいです。シドニーも少し坂が多い。例えばカナダでしたら、車椅子でなくても、健常者でも歩くのが難しい人たちに対して、歩きやすいようになっています。そのような、人に対してどれくらい優しい環境なのかみたいなことが少しあるだけでも、そこに特化したことを言ってくれる番組が今のところないような気がしています。

◎局側

 10億も20億もするマンションを現実に買える人なんて、ほとんど見ていないでしょうし、とにかく理想なのですが、現実を見せることでおもしろさが増すみたいなところなのではないかと思います。リアリティを見せることが、おもしろく理想を見る、そういうところなのかと思います。実は番組内でも、もっと安くて生活圏にある、我々が実際に買えそうな物件を見せる方がいいのか、それとも先ほどあったような20億の豪邸を見せる方がいいのか、行ったり来たりしています。20億と言わず、50億のロンドンの高級マンションを紹介したこともありますが、それはそれですご過ぎて、言葉にならないような物件もあり、どちらかというと理想なのですが、現実に置きかえて楽しめればいいかと思っています。
 見せ方として、人に対しての優しい環境をご紹介するというのは、確かにもっと意識していかなければいけないと思いました。環境や車椅子の話であるとか、そういうのを少しずつでも織りまぜていくことで、番組としての価値も上がっていくと感じました。

◎委員

 私はこういう番組が好きで、子どものときからよく見ていたのですが、そのような番組は、大体1時間半とか2時間のスペシャル番組です。
この番組は、レギュラー番組で、連続していく中で、国が変わるとリセットされやすいというデメリットもあります。放送は続いていて、いつもここに来ると、同じことをやっていて、楽しいということをなかなか印象づけづらい。国が変わって、アイコンとして武井さんがいることが目印になっている中で、何かこの番組の連続性ということ、スペシャルとは違うという工夫とか、番組が育っていく形の見せ方の工夫はどういうところにされているのかと思います。一期一会の人と会いやすいという利点もありますが、せっかくこういう番組が好きな人が、来週も来月も見よう、これは今回こうなったとか、こういうマニアに向ける部分と、一見さんを大事にする部分と、バランスのよさというようなところがあると、もっとすごくおもしろい番組になると思います。こういう番組が好きな人はいっぱいいると思います。ですから、一期一会の人を一期一会にしない、入り口として、ずっと継続していくチャンスのある番組だと思います。

◎局側

 毎回が特番みたいになってしまって、そういう視点をもっとつくらなければいけないと、今すごく感じました。この前、ハワイで出ていただいた不動産業者の方に、「その後、あの物件はどうなりましたか。」と聞いたら、売れていました。日本からの反響も結構あったとのことで、新しくこんな店ができたとかでもいいので、続報みたいなものを今後入れていけないかと今考えています。世界各国の不動産業者といろいろお仕事をさせていただいているわけですから、ただ一回だけのものに終わらせず、今後も継続して、あそこはどうなりましたとか、あの国のあれはどうなったのか、新しいこんな物件が登場しましたとか、そんな連続性をつくり出せないかと今思っています。

◎委員

 いろいろな場所を見るときに、住むという視点で街を見ると、違った感じでその場所の情報が入ってくるということがあります。観光という視点でシドニーを見るのとは全然違って、そこでどんな生活がされているのかとか、不動産が持っている、例えば固定資産税の問題だとか、南向きの問題だとか、住むということから見えてくる文化みたいなもの、そういうところが見えてくるのはとてもおもしろいと思います。
 番組サイトを拝見してみると、動くための情報というのはあまりありませんでした。今、インターネットでは、どの情報が本当に正しいのかわからないということも問題になっているときでもあります。ウェブに行けば、実際に何かしようと思ったときに、そういう情報がこの番組にある、実際に映像を見て、ちゃんと取材もしているので、各国の不動産事情みたいなものも見ることができる、そういう情報を提供すると、二重にいいと思います。
 不動産に関心を持っていらっしゃる方は、いっぱいおられると思いますが、放送というのは、その時間にアクセスしないとそれに気づかないことが多いので、番組にそういう人たちを誘導するようなウェブの使い方があってもいい気がします。視聴者やそういうことに関心を持っている人たちと、世界規模のネットワークがつくれる可能性、そのハブとしての番組という位置づけを考えていくと、循環していくのではないかという気がします。ぜひそういうことも検討していただくといいと思います。

◎局側

 今、構想では、世界の不動産業者との、一度出ていただいたつながりを、その後の情報を集めてウェブに載せるなど、ホームページ上でそういう展開をするとか、世界からの不動産ニュースみたいなことができないかと画策をしています。まだ始まったばかりの番組ですので、なかなか大がかりなことを急にはできないのですが、地道にそういう作業もやってみたいと思います。継続性というのは大変参考になります。

*BS-TBSでは、番組審議会委員のご意見を真摯に受け止め、今後の番組内容の向上に活かしていく所存です。