BS-TBS

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放送番組審議会

第75回

2021/12

1.

日 時

2021年12月14日(火)午後4時

2.

場 所

ホテルニューオータニ会議場

3.

委員の出席

委員総数 8名

 

出席委員数 7名

 

出 席 者

委員長  末綱隆
副委員長 出井直樹
委員   瀬古利彦 寺﨑明 古川柳子
     田中ウルヴェ京 橋口いくよ
     ※天野委員はVTR出演

 

局側

相子 代表取締役社長
本田 常務取締役
中澤 取締役・番組審議会統括
鈴木 取締役・編成制作局長
高松 編成制作局編成部長
大手 総務局ライツ考査部長
川口 番組審議会事務局長
中尾 番組審議会事務局幹事
王堂 編成制作局制作部長
笠原 番組プロデューサー

4.

議 題

 
 

(1)報告事項

番組種別公表制度に基づく放送実績について

 

(2)審議事項

「アドベンチャー魂」
2K及び4K放送日時:11月16日(火)21:00~21:54

(1)報告事項

◎局側

 2021年4月から9月の番組種別放送時間の集計結果をご報告します。
 2K放送の総放送時間は1008時間で、こちらを100%といたしまして、報道が7.8%、教育が9.3%、教養は9.6%、娯楽が39.1%、通信販売が33.9%、その他は0.3%でした。総放送時間のうちのCMの放送時間は10.5%でした。
 4K放送の総放送時間は929時間52分で、内訳は、報道が5.6%、教育が6.7%、教養が7.6%、娯楽が34.1%、通信販売が45.8%、その他は0.2%でした。総放送時間のうち、CMの放送時間は8.9%でした。

(2)審議事項

◎委員

 東野君と田中さんのキャラの違いがすごくて、とてもおもしろかったです。特に田中さんが何げなく語る言葉に圧倒されました。そして、話す言葉もおもしろく、死と隣り合わせのことをやっているのに、「危ないとか死ぬとか考えない」と、、、。
 難しいことを乗り越えた後、ロープをほどいた後に事故が起こる。と聞きました。最後の難所のシーンで、東野君が命がけというか、お笑いの人ではないような顔をして一生懸命登っている姿は迫力と緊張感があって、見入ってしまいました。

◎局側

 もはやベテランといえる年齢の東野幸治さんが、若手がやるような過酷なロケに毎回真剣に取り組んでおり、番組の大きな魅力の1つは、この東野さんの真剣さにあると思っています。従来のバラエティの殻を破った、ある種のドキュメンタリー性がこの番組にはあって、演出では到底出てこない表情や言葉、ハプニングが、この番組の大きな見どころになっていると思っています。それと、ご出演いただいている冒険家です。冒険家は皆どこか変わり者でございまして、命を投げ出し、肉体を削り、死にそうになりながらも、山頂を極めたい、未開の地を踏破したい、そういう思いにあふれた方々です。なぜそこまで命をかけられるのか、我々常人には理解できない領域が、彼らにはあって、彼らの物の考え方や人生の捉え方、生きるということについての考えは、非常に興味深いものがあります。このような冒険家の考え方についても、できる限りお伝えできればと考えております。

◎委員

 東野さんも、自分の殻を破るチャンスというのを視野に入れて取り組んでいるのではないかと思うのと、こういうことが本当に好きでやっているということが非常によく出ていました。冒険家の心理にうまく入り込みながら、自分の体を張って頑張っている、そこは非常に共感を持ちます。
 プロデューサーがおっしゃっていた、ターゲット40代、50代というよりは、むしろ、定年後に再雇用みたいな形で働いている人、そのくらいの年齢で、手間とお金と時間と孤独を楽しめるところがあるアクテイブな人が、ちょっとやってみようかと興味を持つと思います。その年齢というのは、小さいころ、川だったり山だったり斜面だったり、工事現場の裏山だったり、そういうところで小さな冒険をしていますから、そこに回帰できます。番組の中で、垂直降下のトレーニングもしていましたが、どういう準備をして臨んだかとか、ちょっと頑張れば手が届くようなアドベンチャーを見せてもらったら、自分たちも取り組もうというところにつながるような気がして、固定客がふえるのではないか、そんな印象をもちました。

◎局側

 東野さん自身が、もっとはいつくばりたい。はいつくばっている自分がとてもうれしい。それでこの番組をやりたいとおっしゃっています。非常にやる気で取り組んでおられて、東野さん自身、アドベンチャー魂をもっと燃えたぎらせたいとモチベーションを持ってやっていただいております。
 ターゲットとしては、40代、50代を狙ってはいるのですが、ご意見にもありましたように、65歳の人が見て、やってみたいと思うのもまたいいと思います。東野さんは、トレーニングらしいトレーニングを実はあまりしていなくて、ジムに少し通っているくらいで、懸垂もろくにできないと言われています。「日ごろ運動していない中年でも登れますよ。」とおっしゃっています。

◎委員

 今回、田中さんと東野さんを映しているだけではなくて、周りのクルーの方も映っています。カメラマンは、撮影しながら登っていて、命綱もついてなかったようで、カメラマンのほうがはるかに大変だと思いました。
 全部で5~6人のクルーでしたか、撮影は危険でもあるし、いろいろな角度から撮らないといけません。番組づくりは大変ご苦労があったのではないかと感じました。

◎局側

 かなり専門的なカメラマンを雇っております。第1回の放送でアドベンチャーレースを特集していますが、そこのチームに所属していらっしゃる方々です。それぞれ、インスタグラムやSNSの世界では非常に有名な方々で、彼らは、YouTubeでみずから撮って配信しています。そういう方々にお願いして、常時、5人くらいを押さえています。番組を通してネットワークができていっているようなところもあります。

◎委員

 危険性が非常に高いので、これは保険を掛けているのかと思いました。特に命綱を使うとか、いろいろな形のものをやっておられるので、ああいうときの保険はどうするんだろうというのが1つ浮かんだ疑問でした。

◎局側

 出演者も含めスタッフも保険にはかなり入っております。具体的には、傷害保険や死亡・後遺障害保険、入院保険とか通院保険、傷害医療費用等の保険に入ってます。危険性についてですが、そもそも、事故がないようにというミッションでやっております。しかし、事故のリスクを排除し過ぎるとおもしろくありません。ここが非常にバランスが難しいところですが、事故が起こらないことを最優先にしてつくっております。

◎委員

 山登りの場合は、山に登って見える景色や、「頂上からこういう景色が見えます」とテレビでやると、「山登りっていい」という気持ちが伝わって、「行きたい」となります。沢登りの場合、見ていて、登り終わったときの達成感って一体何かと考えたときに、何となく頭の中がモヤモヤしてしまいます。テーマとして取り上げた沢登りの魅力が、見ていてよくわかりませんでした。田中さんの人柄や人生の生き方みたいなものがもう少しあるとわかりやすいと思いました。

◎局側

 登山というのは非常にゴール地点がわかりやすく、頂上に登って、頂上部から眼下を見渡して、いい景色だと、ルーズな絵でドローンを飛ばして終わることができるのですが、沢登りというのは、なかなか難しく、今回も最後にドローンを使った絵で終わっていますが、おっしゃられるとおり、沢登りの達成感、到達感の表現については今後ぜひ考えていければならないと思いました。

◎委員

 「アドベンチャー魂」というタイトルも含めて、冒険家の方がメインになってくるのだろうと思って拝見しました。チャレンジをしていく東野さんが、まさに体を張って、すごいなと思いながら思わず見てしまいますが、田中さんとどういうふうに呼応しながら、あるいは共感しながらやっているのか。その辺のところが、いまひとつ挑戦の中に見えないというところがあって、それがちょっと残念でした。見ているほうとしては、どちらに感情移入していいのかわかりません。田中さんなのか、東野さんのほうなのか。その辺りの、何をコンセプトとしてこの番組を見せたいのかというところが、少しぐらついているという気がしています。田中さんのアドベンチャー魂をもう少し知りたかったと思い、ここのところが物足りなさを感じました。

◎局側

 冒険家メインなのか、東野さんメインなのか、試行錯誤の途中でございまして、冒険家の方々は、非常に魅力的な方々ばかりで、考え方そのものが本当に変わっていらっしゃいます。ですので、すごく掘り下げたくなってしまいますが、そのバランスをどちらに持っていこうかと悩んでいる所です。別の回では、少し冒険家に寄せまして、冒険家をフィーチャーしたような話もあります。どちらに寄せるか、バランスを見ながら、今後もつくっていければと思っております。

◎委員

 この番組に対しては音楽が気にならないのが本当はベストです。いつの間にか曲が流れているのがベストだと思いますが、最初のほうで、左側から登るときの音楽がすごく重いと感じました。リズムがちょっと違います。左側から登るときだけ音楽が違ったのが、ちょっとちぐはぐな気がしました。
 もう1つは、自然の音をどれくらい聞けたか、という事です。水の音はすごく感じました。
 行った気になれるとおっしゃっていましたが、行った気になるための音は、わざわざつけるような音ではなくて、もっと自然の音を効果的に出すとどうなのかと思いました。水の音はすごく聞こえましたが、風の音なのか、その辺があったほうがいいと思いました。

◎局側

 音についてですが、これは試行錯誤の段階でございまして、第1回と第2回ができ上がったときに、音やナレーションは極力なくていいのではないかと思いました。従来のバラエティの殻を破るには、もっとドキュメンタリーに寄せたほうがいいのではないか、ドキュメンタリーの中で東野さんが輝いたほうが、新しいバラエティとして成立するのではないかと考え、制作チームといろいろ話し合った結果、現状では、少しナレーションを入れて、入れなくていいところはスーパーだけで、その場の雰囲気でと考えております。委員がおっしゃられたように、そういったときに自然の音がもっと入り込んでくれば、臨場感ももっと湧くのかと思いました。

◎委員

 私はダウンタウンのコントを見て育って、そこにいつも東野さんがいました。今やもう大御所になって、司会とか、遠いところに行った感じがあったのですが、こういうことをしていると、またあのときの東野さんが見られるというワクワク感がもらえます。結局、テレビとは、その人が生きてきた、見てきたものの歴史を踏まえて見るので、ターゲットによって感じ方が違うというのはすごくあると思います。
 東野さんが挑戦されている前後のバックステージみたいなものを、SNSやこの番組で最後に触れるなどして、もう少し東野さんの部分で親近感があると、おもしろいと思いました。あの映像に見えている以外の苦労話みたいなことも何らかの形で見えるといいと思います。そういうことが少しでも見れると、新しい人が入ってくるのではないのかと思いました。

◎局側

 まさにおっしゃるとおりでございまして、そういうスピンアウト的な企画もどんどん進めていきたいと思っています。冒険に特化した、非常にストロングスタイルな内容でありますので、配信との親和性も高いと考えております。コアな視聴者にも刺さりやすいソフトになっていると考えておりまして、今後は配信のほうも意識して制作していければと考えております。ぜひ前向きに取り組ませていただきます。

*BS-TBSでは、番組審議会委員のご意見を真摯に受け止め、今後の番組内容の向上に活かしていく所存です。