BS-TBS

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放送番組審議会

第73回

2021/06

1.

日 時

2021年6月16日(水)午後4時

2.

場 所

ホテルニューオータニ会議場

3.

委員の出席

委員総数 8名

 

参加委員数 7名

 

委員長  末綱隆
副委員長 出井直樹
委員   瀬古利彦 寺﨑明 古川柳子 田中ウルヴェ京 橋口いくよ ※天野委員はレポート提出

 

局側

相子 代表取締役社長
本田 常務取締役
茂川 取締役・編成制作局長
中澤 取締役・番組審議会統括
高松 編成制作局編成部長
大手 総務局ライツ考査部長
川口 番組審議会事務局長
中尾 番組審議会事務局幹事
笠原 番組プロデューサー

4.

議 題

 
 

(1)報告事項

番組種別公表制度に基づく放送実績について

 

(2)審議事項

「ブルー・アース 生命の海」
2K及び4K放送日時:5月2日(月)22:00~23:54

(1)報告事項

◎局側

2020年10月から2021年3月の番組種別放送時間の集計結果をご報告します。
2K放送の総放送時間は1008時間で、内訳は、報道が8.2%、教育が9.2%、教養は9.3%、娯楽が39.8%、通信販売が33.1%、その他は0.4%となっております。総放送時間のうちのCMの放送時間は10.7%でした。
4K放送の総放送時間は927時間54分で、内訳は、報道が6.0%、教育が6.9%、教養が7.6%、娯楽が34.7%、通信販売が44.5%、その他は0.3%で、総放送時間のうち、CMの放送時間は9.0%でした。

(2)審議事項

◎委員

地球の海の温暖化が、深海、そして北極や南極、プラスチックやサンゴ礁などを通して一気に知ることができて、すごく勉強になり楽しめました。
しかし、2時間という番組の尺で中身を盛り過ぎており、展開が早過ぎて、何を言わんとしているのか、途中でわからなくなってしまいました。1時間くらいの番組で、1つ、2つの視点に絞って展開したほうがわかりやすかったのではないかと思いました。

◎局側

プラこみと温暖化を別々の回に分けるというのも1つのやり方としてあるかと思います。
ただ、プラごみ問題と温暖化問題は実は密接に関係しており、プラスチックを大量に出すことによって、温暖化を加速させてしまっているところがあります。別々の問題に見えるかもしれませんが、実は根っこは同じだというところをきちんと打ち出せたら、感じ方も違ったかと思います。うまく表現できなかったところは反省点かと思います。

◎委員

これまで撮りためていた映像と、JAMSTECから借りた映像と、ロケ映像のバランスがうまく振り分けられており、非常にご苦労がにじみ出た番組であったと思いましたが、それぞれの映像の画質が明らかに違っていて、それを張り合わせて作ったというのがわかってしまうので、そこにもう少し工夫があればと思いました。

◎局側

いろいろな映像が混在していますが、画質の差は、ほぼ時代の差だと思います。すごく古い映像は、ハイビジョンになる前の映像です。あと、最近の映像だとしても、JAMSTECが撮っている海の中、特に深海の映像などは、もう少し小型の特殊なカメラで撮っていますので、どうしても画質が違ってきます。
パッチワークになっている中で、一体これがどんな映像なのかがわかりにくいというのはどうしてもあると思います。クレジットを入れたり、何年に撮ったかをきちんと入れるなどの工夫が必要とのご意見についてもよくわかりますので、その点は今後の参考にさせていただければと思います。

◎委員

毛利さんとさかなクンの、空の目と海の目というこの配置がとてもよく、座組みが見事でした。映像を見た後に問題提起があり、見ている人に考えさせる、その辺の構成が非常に上手くできていたと思いました。
後半には、未来に向けての話で、地球が汚れていってしまう事に対して、どのように解決していくのかのヒントが最後に提示されていました。
SDGsは、どうしても産業的にブレーキがかかるというイメージで語られがちですが、むしろクリエイティブな話で、新しい環境を考えていくということは、新しい産業構造をつくっていくということでもあって、ポジティブな物語なのだ。というメッセージもいただいたような気がします。

◎局側

意識したのは、SDGsは、なかなかハードルが高く、難しいテーマで、どうしても理念先行になりがちなところです。頭でっかちにならないように、まずはなぜそれをやっていかなければならないのか、今一体地球に何が起こっているのかという部分を番組の前半できちんと描いて、後半で答えに向かっていく、そういうストーリー性をきちっとつくって、単なるオムニバスではなくて、SDGsにそれほど関心がなかった人でもわかりやすく入っていけるような番組にできたらいいと思いました。

◎委員

ESGとかSDGsは、今やもう企業の中期経営計画や長期経営ビジョンの中に必ず盛り込まれており、これを取り上げたのは非常にいいと思います。カネカが取り上げられていましたが、カネカを取り上げた経緯を伺いたいと思います。

◎局側

SDGsというところで、カネカの生分解性ポリマーを取り上げたらおもしろいというのは、毛利さんからサジェスチョンをいただきました。毛利さん発の企画でしたので、レポーターも毛利さんでお願いしました。カネカの開発した製品は、海の中でも土の中でもコンポストでも、全部、自然に分解できる唯一のものでした。どうして生分解性ポリマーが環境に優しく、海洋プラごみ問題を根本的に解決でき得るものなのかということと、無駄なCO2を出さない、だから温暖化の対策にもなっているというところはきちんと伝えなければいけないと思いましたので、ある程度尺をとり、説明させていただきました。

◎委員

海の歴史や地球における海の役割、海というのは、地球全体の構造に対してどのような役割を果たしているのか。海の定義みたいな話が最初にあると、見やすかったと思いました。
ポイントは地球温暖化で、非常に問題だというところをうまく出していたと思いますが、温暖化で大変だというところで終わってしまった感じがしますので、何をしたらいいのか、さわりだけでもあるとよかったという感想を持ちました。地球温暖化とは何なのか、いろいろな学説をベースに示していただけるといいと思いました。地球温暖化というのは本当のところどうなのか。何かのときに解明していただけるとありがたいと思いました。

◎局側

海の役割や歴史、太陽系の惑星の中で地球にだけこんなに大きな海がある理由や成り立ちの話がありますが、そこまで行くとさすがに盛りだくさんになってしまうと思い、今回落としています。地球において、海がどんな役割を果たしているかという説明は、幾つかのブロックの中で入れていますが、そこをあまり散らさないで、きちんとワンブロックで描いたほうがわかりやすかったかもしれません。
温暖化というのは確かに非常に解決が難しい。多分、SDGsの17の目標の中でも最も困難な問題の1つだと思います。今何が最も問題になっているかというと、ここまで地球の温暖化が加速度的になってしまったのは地球の歴史の中で初めてで、それはやはり人間の活動が影響を与えているということです。そこを何とかしていけないかと思っています。その中で、海というのは非常に重要な役割を果たしていまして、その一端は今回の番組でも入れていますが、その部分にさらにポイントを置いた番組、温暖化とは何か、温暖化と海の役割みたいなテーマで、機会があれば第二弾をぜひやりたいと思っています。

◎委員

テーマが大きいだけに、焦点が一体何なのか。海の生態系のほうが焦点なのか、それとも環境問題のほうが焦点なのか。主題が何だったかというところが疑問でした。
海の生き物の生態、海のシステム、それから生態系のピラミッドなど、非常に貴重な映像がたくさんあり、それ自体でも非常に見応えがありました。地球温暖化についても見応えがありましたし、プラごみの問題も深掘りをされていましたが、盛りだくさん過ぎて、振り返って考えると、一体何が焦点だったのかという気がしました。

◎局側

焦点がぼやけてしまったということに関しては、自分でも感じているところです。テーマが大きくなってしまったために、いろいろな要素を入れてしまいました。同時にストーリー性をきちんと見せるために落とせなかったものがありますが、これでも相当の要素を落としてはいます。
趣旨がよく伝わらなかったということに関しては、テーマの打ち出し方をもう少し工夫すればよかったと思いました。要素としてはたくさんあるように見えますが、言いたいことは実は単純で、「海はすばらしいんだ、それを未来に伝えていこう。」ということだけです。打ち出し方の問題と、今こういうことを伝えようとしているということを折に触れて入れていくべきだったのかとも思います。ただ、そうするとますます尺もかかるので、そこはジレンマではありますが、反省点としてあります。

◎委員

自然の色の美しさとプラスチックごみの色の汚さのコントラストがとても衝撃でした。色としては同じなのに、なぜプラスチックの色は汚い鮮やかさで、自然の色との差は何なんだろうと、色のコントラストに衝撃を受けました。
次に、深海のリアリティがすごかったです。深海に入っていく映像で、徐々に水の冷たさを感じます。そして、暗い。暗さがすごくて、静けさも感じます。
意見としては、さかなクンの役目と毛利さんの役目が、少しわかりにくいところがありました。そこで、ぶつかり合うところがあり、出演者2人のよさをうまく出すことの難しさを感じました。

◎局側

毛利さんはもともと化学者ですので、そういう視点から、理論としてのプラスチック問題や気候問題を語っていただく、ロジカルなポジションかと思っています。さかなクンは環境省のプラごみアンバサダーも務めていましたし、経験側として魚のことからスタートして、魚が暮らす生態系、海というものの環境を考えていく、そういう役割分担かなと思っています。ただ、それは完全にすみ分けられるものではないので、確かにバッティングするような部分はあったかもしれませんし、それがハレーションみたいに感じられたのでしたら、うまくいかなかった部分かと思います。

◎委員

番組で取り上げている事例が自分たちの生活と地続きではないと思いました。海や地球のためにこんなふうにしたらいいらしいと言いたくなるようなことがあると、次の日、この番組のことを思い出して、それを話題に家族で話したりして、この番組自体の記憶がすごく強くなると思います。
今の人は、自分の興味のある情報はとりに行きますが、海を守るために何をしたらいいかと調べる人はいないと思います。流れてきた情報で気づくというのは、テレビの最後に残された役割だと思います。みんなが情報をとりに行く時代に、日常と地続きのテレビだけが伝えてあげられること、その可能性がすごくあると感じました。

◎局側

読後感というか、どう現実とうまくくっつけるかみたいなことかと理解しました。視聴者には、若者のごみ拾いや、こういうことを自分たちでもできるということや、新しいプラスチックがあるということを感じてもらえればいいと思っていましたが、その先の、実生活に接着できるような何かがあればさらによかったのかな、と思いました。そこは確かにおっしゃられたのを聞いて、なるほどと思いました。あまりそういう視点で考えたことはありませんでしたので、これから番組をつくっていく上で、意識していきたいと思います。ありがとうございました。

*BS-TBSでは、番組審議会委員のご意見を真摯に受け止め、今後の番組内容の向上に活かしていく所存です。