第35回
2011/12
2011年10月20日に第35回BS-TBS放送番組審議会が開催されました。審議会委員は8名が出席され、BS-TBS側からは平本社長以下8名が出席致しました。
2011年7月から9月の第3週についての「番組種別」、「番組種別放送時間」、「2010年10月からの基本番組表」の報告があり審議委員により了承されました。
第35回の審議会は、テレビ番組「ドナルド・キーン先生日本人となる~その半生に込められた日本への思い~」「果てしなく美しい日本 ドナルド・キーン×平野啓一郎スペシャル対談」について審議を行いました。
放送日 | 2011年10月16日(日)19:00~20:54 |
委員からは以下のような意見・感想がありました。
- ・余り文句のつけようのないような番組。 地元の人たちの前で講演して、最後に「平凡な日本人として生きたい」と語るのが印象的。
- ・後半の平野さんとの対談は、話もかみ合ったと思いますし、場所も非常によかったです。
- ・ドナルド・キーンさんの静かな語り口と視線が非常に印象的で、震災後の苦悩の状態にある現在の日本に寄り添うようなキーンさんの姿勢を静かに魅力的に描くつくりだなと思いました。
- ・高見順さんの「敗戦日記」の上野駅のくだりに共感したという話がこのたびのキーンさんの帰化という決断の背景として描かれていて、これもとても理解できるところです。
- ・永井道雄さんとの出会いのエピソードとか、中尊寺金色堂でこの世でない世界に入った経験。見ていて、とても質のよいエッセーを読んでいるような感じの番組だと思いました。
- ・ドナルド・キーンさんの人間的魅力が非常に丁寧な描き方とマッチしていて、ああいう描き方をされると、我々自身が抱いている日本像というか日本の見方をもう一度見直すような、うぬぼれるでもなく落ち込むでもなく、素直な気持ちにされるなという感じがありました。
- ・キーンさんは恐らく、「源氏物語」も含めて日本の古いものをよく研究されて、恐らく日本人の心情を日本人よりもよくつかんでおられたんじゃないかという気がします。それが国籍取得のところまでつながってきたんだろうなということが、この番組を見て納得ができました。
- ・平野さんは、年の差も含めて、何とかキーンさんの心情を引き出そうとして、すごくよく頑張って質問されていただろうと思います。非常によかったと思います。
- ・とても良質な番組を見せていただいたという感想です。地上波、BSを問わずに、こういう番組は少ないと、今回特に思い、そういう位置づけとして、私は大変ありがたい番組だなと思いました。
- ・テレビという媒体としての啓蒙力、テレビというものの大きな1つの働きなんじゃないかとこの番組を見て大変思いました。それは、番組が良質だという1つの証左ではないかと思いました。
- ・タイトルがすごくよかった。「ドナルド・キーン先生」というタイトルに、この番組のコンセプトですとか、制作者の温かみみたいなものをすごく感じました。全体の流れを象徴したようなつくり手の温かみみたいなものを大変感じました。
- ・第一部で、戸田恵子さんがナレーションをおやりになっているというのはすごくよかった。落ちついて聞いていられる優しい声で、私は大変うれしかったです。そのときに、「こうして、ドナルド・キーン先生は日本人になりました」という最後のナレーションがぐっとくるという感じがして、彼女の声でよかったなと思いました。
- ・番組の内容につきましては、非常に良質な、丁寧に取材を積み重ねていらして、大変な労作だと私も拝見しました。二部構成というのもすごくよかったと思います。
- ・二部に関していえば、文学者同士の対談というのはとてもよかったと思います。本当におもしろかったのが、芭蕉の句なんかでも、母音の「o」が続くことである種の悲しみというか、感情があらわれていくところとか、日本人が考えつかないようなことを批評としてやっていらっしゃって、改めてキーンさんの本を読んでみたいなと思いました。
- ・大変興味深く拝見しました。第二部での風景に合った2人のゆっくりとした穏やかな対談が、日本語の深さ、日本語のよさを見直したという感じがいたしました。先生が、「日本語の意味がわからなくても、日本語の音はすごく美しいから、何しろそれを聞きなさい」と生徒にお話ししたというお話がありました。日本語の響きが美しいといわれて、大変うれしかったです。
- ・見終わったときに、非常に静かな気持ちというか、ひたひたとゆっくりしみわたってくる感銘というのか感動がずっとしばらく続きました。
- ・キーン博士が、「良い時代にその国の人と一緒にいるのは難しくないが、災害などがあり悪い時に一緒にいるのは簡単ではない」とされ、博士が帰化されるというニュースに触れた際、心が震えたのを思い出しました。
- ・平野氏とキーン博士の対談は、美しい緑の広がる平泉の自然の中で、年代と国籍が異なるお二人が、日本の古典を通じながら、言葉、美、精神などについて語り合う内容でした。当然ながらお二人の博識、そして画面を通じ謙虚さが伝わり、見ていて大変清々しく感じました。あたかも自分も近くでお二人の話を聞いているような感覚に陥るほど、贅沢な時間でした。
- ・特に第一部は大変すばらしい、いいできだったなと私は思います。啓蒙というか、知らないことを知らせてくれるということにテレビの役割があります。 特に、本当によく取材されていて、映像資料も豊富に出てきて、知らないことを教えていただいた。テレビだからこそ、写真を見たり、映像を見たりすることで理解が深まっていることが随分あるので、テレビらしい、テレビならではのいい番組をつくっていただいて、我々日本人にとって、このドナルド・キーンさんというのはどういう人なのかというのを改めてしっかり教えてくれた、非常に意味があったなと思っています。
- ・タイトルにも流れたキーンさんの言葉、「自然は変わるけれども、残るものは人間の言葉だ」。 言葉の重みというものを逆にテレビに教えられるという点で、ここが1つ残ったなという気がします。
- ・中尊寺の周辺の映像がめちゃくちゃきれいでしたよね。すごくきれいでした。時間もかけてお撮りになったんだろうなというか、すごかったですよね。インタビューのときの毛越寺なんて、あそこも本当にしみいる。グリーンがすばらしくて。
- ・導入部の音もよかったです。始まったときに、急にすごくいい音が聞こえてきて。また、音楽がすごくよかったですね。音楽がすごく気に入りました。第一部と第二部と同じメンバーでしたよね。音楽がこの番組にすごく似合っていた感じで、私はとてもすばらしいお仕事だったなと思います。
なおこの番組は、BS-TBSにて12月30日(金)21:00~22:54で再放送を予定して居ります。