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放送番組審議会

第17回

2005/10

2005年10月24日に第17回ビーエス・アイ放送番組審議会が開催されました。 審議会委員は6名が出席され、ビーエス・アイ側からは生井社長以下7名が出席致しました。 
第17回の審議会は、テレビ番組「恋する日曜日・文學の唄~蒲団~<前編・後編>」について審議を行いました。 
*「恋する日曜日・文學の唄~蒲団~<前編・後編>」の放送日時:10月2日(日曜日)9日(日曜日)午後11時~11時30分 

テレビ番組「恋する日曜日・文學の唄~蒲団~<前編・後編>」について委員からは以下のような意見・感想がありました。

  • ・団塊世代を大きなターゲットとしているビーエス・アイが、この世代にとって独特な思い入れのある若松孝二監督に『蒲団』を撮らせて中年男の内面を描く。そういう意味で監督が中年男の欲望と情念をどういうふうに描くのか、非常に興味を持って見た。ところが、至るところにジョークなのか本気なのかよくわからないような仕組みが出てきた。メタ文学をやりたかったのか、それとも一種のパロディとしての文学をやりたいのか。そのへんのところがもう一つ見えない。期待の文学シリーズという意味での第 1 作としては、大変な変化球を投げたなという印象。個人的には、いろんなことをすごく考えさせてもらったので、大変おもしろいという感想を持った。
  • ・若松孝二監督を起用した狙いは、恐らく中年男の助平根性と女の子の色気をうまく出そうというような狙いが多分あったんだろうと思うが、それがちょっと中途半端だった。しかし、一時間では、描ききれない部分もあったかもしれないけれども、なかなかおもしろかった。試みは非常に評価する。
  • ・ビデオでなくフィルムで撮っているのかと思った。質感がとてもよく、心地よく見ることができた。設定が現代なのに最初びっくりした。女の子がジーンズをはいていたり、佐野史郎がいきなり携帯をとりだしたり。もしかすると、文学に全く興味のなかった若い世代は、あの辺から引き込まれて原作を読もうというところまで誘導されるのかなという感じはした。 PC とか携帯とかのアイテムがうまく使われていると思ったし、キャストが凄くよかった。奥さんがどこにでもいるような感じで、本当によかった。もう一度読み直したいなと思った。
  • ・今携帯があるおかげで、すれ違いドラマをつくるのが難しくなっているようだが、今回それがうまくドラマの中に入っていたかなという感じがした。全体的に明治の自然主義文学が平成の自然主義にうまくとりかえられていて、意外と素直に受け入れられた。大変良かった。
  • ・若松孝二監督にしては随分抑えてやっているなという感じだった。中年男のだれしもが持っている心の中の欲望というか、憧れというか、そういうものをテーマにして、短時間の中で非常にうまく描いている。特に中年男にもプラクトニックラブを大切にする心があることを再認識させた。
  • ・こういうチャレンジをしていることに,敬意を表したい。特に TBS ではこの時間帯に「情熱大陸」をやっている。その時間帯にちょうど好対照で、ゆったり見る雰囲気の時間にうまく考えて作られたなという気がした。ゆったりと小説を読んでいるような感じで、ゆったりした流れが心地よかった。若い人たちに田山花袋を読むチャンスをアピールするために原作『蒲団』のテロップでもあるといいのかなと思った。

BS-i 番組審議会委員
委 員 長
師岡 文男  (上智 大学教授)
副委員長
村 和男 (弁護士)
委員
逢坂 剛  (作家)
委員
沼田 早苗 (写真家)
委員
黛 まどか  (俳人)
委員
野間 省伸 ((株)講談社 代表取締役副社長)
委員
成田 康昭 (立教大学教授)