AQUOS美術館 かくて名画は生まれた。

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毎週土曜日よる22:00〜22:30
毎週日曜日7:00〜7:30再放送

今から100年以上も前に描かれた一枚の絵画。
名画の放つ色彩…そしてその筆遣い。
画家が持てる情熱を全て注ぎ込んだ絵画に向き合う時、あなたはそこに何を見るであろうか?

絵画の数だけドラマがある。そして見る者の数だけ感動がある。
絵画は人生を変える。画家も、そして見る者さえも…

ピエール・オーギュスト・ルノワール Pierre-Auguste Renoir

#24 「陽光の中の裸婦」

12月13日O.A.(14日7:00 再放送)
3月14日O.A. (3月15日再放送)
声の出演 津川雅彦(ルノワール役)
テーマ音楽:宮川彬良
『陽光の中の裸婦』

「陽光の中の裸婦」

所蔵:オルセー美術館(フランス・パリ)

今まで室内で描かれることが多かった裸婦像。しかしルノワールは、あえてモデルを屋外に連れ出し、光が交錯する木漏れ日のもとで描いた。
木漏れ日をあびてたたずむ女性。憂いを含んだ表情。匂いたつような肉感。
彼がその情熱をかけてキャンバスに描こうとしたもの。それは“美しい女性”だった…
朝の光、昼の光、夕刻の光。光によって、女性のやわらかな肌は色を変え、輝きを変える。
その“色”を表現するために、彼はひたすら屋外でのスケッチを繰り返した。
そこには画家の尽きることのない“探究心”があった。

『ピアノに寄る少女たち』

「ピアノに寄る少女たち」

所蔵:オルセー美術館(フランス・パリ)

二人の少女が、ピアノの伴奏を楽しむ光景を描いた作品。伴奏に合わせて唄を口ずさんでいるのか?はたまた難しそうな楽譜に挑戦しているのか?
二人の少女の“仲のよさ”が伝わってきそうだ。
政府がこの作品を買い取った金額は、4000フラン。
相変らず爪に火をともすような生活を続けていたルノワールの生活は、この日を境に一変する。
巨匠、ルノワールの誕生。彼は、生きている間に“名声”を得るという、数少ない画家となった。
なぜ、ルノワールは、そんな“幸運”を手にすることができたのだろうか?


思わず触れたくなるような肌を描くために、表現方法を捜し求めたルノワール。
その創作の旅は、彼の使用していた絵筆からも見て取れる。
画家が使う絵筆は、ふつう“豚の毛”を使ったもの。
しかし彼は使用していたのは、イタチの仲間である“テンの毛”を使った高価な物だった。
空腹を耐えてでも手に入れた高級な筆。ルノワールは、こうしたやわらかい筆を顔の輪郭を描くときに使用したという。まるで、キャンバスの女性に、化粧を施すかのように色づけしていったという。

ピエール・オーギュスト・ルノワール
Pierre-Auguste Renoir (1841-1919)

“幸福”だけをキャンバスに描き続けた印象派の巨匠。晩年、リウマチと闘いながらも、その生涯で6000点もの作品を世に残した。
風景よりも子供や女性など人の変化に魅せられ、パリ市民たちが楽しんでいる、生き生きとした姿を描いた作品は親しみやすく、早くから日本でも人気を博した。印象派の画家たちの中ではめずらしく、存命中にルーブル美術館に作品が飾られるなど、高い評価を受けた。絵画は好ましく、楽しく、きれいなものであると考え、晩年は自然で健康的、幸福感に満ちた裸婦を多く描いた。