AQUOS美術館 かくて名画は生まれた。

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毎週土曜日よる22:00〜22:30
毎週日曜日7:00〜7:30再放送

今から100年以上も前に描かれた一枚の絵画。
名画の放つ色彩…そしてその筆遣い。
画家が持てる情熱を全て注ぎ込んだ絵画に向き合う時、あなたはそこに何を見るであろうか?

絵画の数だけドラマがある。そして見る者の数だけ感動がある。
絵画は人生を変える。画家も、そして見る者さえも…

フェルメール Johannes Vermeer

#20 「真珠の耳飾りの少女」

11月15日O.A.(16日7:00 再放送)
2月14日O.A. (2月15日再放送)
声の出演 筧利夫(フェルメール役)
テーマ音楽:宮川彬良
『真珠の耳飾りの少女』

「真珠の耳飾りの少女」

所蔵:マウリッツハイス美術館(オランダ・ハーグ)

「北方のモナリザ」と呼ばれる「真珠の耳飾りの少女」。大きな真珠のイヤリングをつけた少女が、そのまなざしを見るものに投げかける、この絵は、フェルメールの中で、もっとも人気の高い作品の一つだ。大きく濡れた眼、半ば開いた唇で、こちらを見つめる少女は一体、何を語りかけているのか。モデルは一体誰なのか?
そしてさらに近年の研究で、この「真珠の耳飾りの少女」に関する意外な事実がわかった。それはフェルメールがなぜ「光の魔術師」と呼ばれるのか、その秘密を解き明かすものでもあった!

オランダ・ハーグにある、マウリッツハイス美術館。
この4階にある修復工房で働く修復士を訪ねた。
彼は「真珠の耳飾りの少女」の修復を手掛けた人物。その結果、驚くべき事実がわかったという。この作品は長い年月を経て、ニスが黄ばみ、少女の表情もくすんでいたという。ニスを取り除くことで少女の顔が淡いピンクや黄色い絵具で実に生き生きと描かれていたのだ。さらに、フェルメールが少女の唇に、あるマジックを仕掛けていたこともわかったのです。それはフェルメールの絵画の謎を解く大きなヒントであった。



フェルメールは、カメラ・オブスキュラという道具を用いて、絵を描いていたという説がある。カメラ・オブスキュラとは、現在のカメラの前身。四角い箱に穴をあけ、そこにレンズをとりつけ、入ってくる光を対向面のガラスに映し出す道具だ。さらに鏡をつけ、画像を正体に戻して見ることができるよう作られていた。これを通して見れば、光の粒を見ることも可能だという。現代人は、レンズを通した映像に慣れているために、フェルメールの絵のレンズの効果になかなか気付きづらいという。しかし、17世紀に光を点描で表現したことは、驚くほど画期的な出来事だったのだ。

ヨハネス・フェルメール
Johannes Vermeer (1632-1675)

17世紀にオランダ・デルフトという小さな町で生まれ育った「光の画家」。
その生涯について謎に包まれており、作品の工程日数や制作記録、デッサンなども発見されておらず、43年という短い生涯で残した作品は三十数点しか確認されていない。モチーフや構図、構成、色彩などシンプルだが、落ち着いた光の中で、日常的行為をあたかも静物のように捉え、独特の室内空間を作り出している。
また、フェルメール・ブルーと呼ばれるラピスラズリ(ウルトラマリンの原料)の「美しい青」が特徴でもある。