AQUOS美術館 かくて名画は生まれた。

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毎週土曜日よる22:00〜22:30
毎週日曜日7:00〜7:30再放送

今から100年以上も前に描かれた一枚の絵画。
名画の放つ色彩…そしてその筆遣い。
画家が持てる情熱を全て注ぎ込んだ絵画に向き合う時、あなたはそこに何を見るであろうか?

絵画の数だけドラマがある。そして見る者の数だけ感動がある。
絵画は人生を変える。画家も、そして見る者さえも…

スーラ Georges Seurat

#12 「サーカス」

6月21日O.A. (6月22日7:00 再放送)
9月20日O.A. (21日再放送)
声の出演 津田寛治(スーラ役)
テーマ音楽:宮川彬良
『サーカス』

「サーカス」

所蔵:オルセー美術館(フランス・パリ)

スーラの真の野望は芸術を科学的に表現することでした。パリ市民の娯楽であるサーカスの様子を描いたこの作品には、喜びを表現する「上に向かう動き」が取り入れられている。その一方で、パリの近代化が生んだ光と影も表現されているという。観客席にはヒエラルキーが表現されており、上の段に行くほど社会階層が低くなっている。観客だけでなく、ここにいるすべての人が簡素化された表情をしている。スーラは何を描こうとしたのだろう。それはスーラの目指した「調和」がカギを握っていたのだ。

サーカスの客寄せ

「サーカスの客寄せ」

所蔵:メトロポリタン美術館(アメリカ・ニューヨーク)

スーラは光と影のコントラストの中に新しいデッサンの技法を探していた。線を重視することなく、輪郭よりも色の明暗でモノを捕らえていた。この作品には明るいところはガス灯のオレンジ、陰の部分は青色を基調とし、彼が研究していた色彩理論も応用されている。また、学術的な理論を構図に当てはめている。この作品全体が黄金比と言われる法則で描かれており、心地よいバランスを生み出している。しかし、スーラは科学的手法のみを追求したのではない。絵画を通してあるメッセージを発信していたのだ。


アトリエで絵を描くスーラ

アトリエで絵を描くスーラ

ナポレオン3世が行ったパリの大改造。それにより、市民が余暇を過ごす場所が増え、パリは活気に満ちた魅力的な街へと変貌を遂げた。そんな中で最も変わったのは夜の街。闇に包まれていたパリの夜が人工的な光を作り出し、華々しい世界が生まれた。色彩と光の表現に取り付かれたスーラの新しい挑戦が始まった。来る日も来る日も自分の目に写った新しいパリを描くために、真っ白いキャンバスを小さな点で埋めた。自分の信じる理論を実践するために。

ジョルジュ・スーラ
Georges Seurat (1859―1891)

直感的に描く印象派芸術の筆触分割の技法を光学、色彩の面から科学的に分析し、規則的な点描によって画面をつくりあげる独自の絵画技法を作った新印象派の代表的画家。作品を仕上げるまでに多数の素描や下絵を制作して、入念に構想を練り、かなりの時間を要して数々の大作を完成させた。パリのブルジョア家庭に育ち、私生活については秘密主義を貫いた。