▼ 1月3日放送
雄々しい叫び声とともに、激しく体を打ち叩く「ハカ」はニュージーランドの先住民、マオリの人々に受け継がれてきた、伝統の踊りです。戦いに際し、戦士が勇ましく舞う踊りとして世界中に知られています。
南太平洋上に浮かぶ小さな島国、ニュージーランド。日本の4分の3ほどの国土に、およそ440万人が暮らしています。北島のほぼ中央にある町ロトルアは、人口の3割以上がマオリ系の人々。
ニュージーランドの国民的スポーツ・ラグビーのニュージーランド代表チーム、オールブラックスが試合前に必ず披露することでもよく知られる「ハカ」。最も有名なハカ「カマテ」は、マオリのある部族の長が、旅の途中、敵対する部族に追われ、苦難の末生還した物語を歌っています。目を見ひらいて舌を出す「プカナ」という動きにも深い意味があります。
▼ 1月8日放送
「ハカ」は地域や部族ごとに様々なバリエーションがあります。祖先たちの歴史や物語を後世に伝えていく役目があり、それは、他の多くの芸術にも当てはまります。
彫刻はマオリの代表的なアート。豊かな森が広がるニュージーランドでは、特に木彫りの技術が発達しました。人物をモチーフにしたものが多く、独特の曲線で様々な神や祖先の姿を形にします。
ロトルアにはマオリ文化の継承を目的に創設された彫刻学校があり、マオリの血を引く男子のみ入学が許され、日夜修行に励んでいます。
マオリはかつて文字を持たない民族でした。文字に代わってマオリの文化や知恵を伝えてきたのが、彫刻などの芸術、体に刻むタトウー、そして伝統の踊りハカでした。
▼ 1月15日放送
ロトルアには名物の大間欠泉があります。世界有数の地熱地帯にあり、町の至る所からは温泉が湧き出しています。硫黄の匂いが漂う観光の町で、日本の温泉地・別府とは姉妹都市を結んでいます。
ロトルアで人気のマオリショー。厳粛な歓迎の儀式から始まります。観光客の代表と出演者とで、鼻と鼻をあわせる「ホンギ」と呼ばれるあいさつが交わされます。
古くからマオリに伝わる遊びを取り入れた軽快なダンスやパフォーマンスが繰り広げられ、最後はお客さんも一緒になってのハカを踊ります。ハカは戦いの舞として知られていますが、今や世界から訪れる観光客を魅了するエンタテインメントとして、高い人気を誇っています。
▼ 1月22日放送
日本の中高一貫教育にあたる公立の男子校、ロトルア・ボーイズ・ハイスクール。政財界に多数人材を輩出する名門校ですが、スポーツにも力を入れています。特にラグビー部は全国優勝を重ねています。
ニュージーランドでは、学校ごとに必ず自分たちのハカがあります。地域に伝わるハカを元にアレンジすることが多いそうです。ハカを踊って自分たちを鼓舞し、スポーツなどで勝利を願うほか、行事やお客様を迎えるときにも披露します。
▼ 1月29日放送
軽やかな音楽に乗せて女性が舞うマオリの踊り「ポイ」。ヨーロッパの文化を受け入れ、新しく花開いたマオリの文化、芸能の一つです。
街の湖畔にちょっと変わったキリスト教会があります。中はマオリ伝統の彫刻やタペストリーで装飾され、ステンドグラスに描かれたキリスト像はマオリの衣装を着ています。
ニュージーランドでは、式典や大切なお客様を迎えたときに、マオリ伝統の様式にのっとった歓迎の儀式が行われます。そこでは、美しいメロディに乗せた歓迎の歌やハカが披露されます。元々マオリの歌にはメロディはなく、日本の詩吟のようなものでした。それがヨーロッパ、特に教会音楽の影響を受け、この100年の間にマオリ民謡として発展しました。ポイの踊りも、こうした美しいマオリソングにあわせて踊られます。