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2014年4月19日放送

今週のドル円は、ドルが買い戻される展開となった。週明けには一時101.42円まで下押す場面もみられたが、シティグループの第一四半期決算が市場予想を上回ったほか、3月の米小売売上高が非常に強い数字となったことを受けて、ドル買い円売りが強まった。

翌日には、黒田日銀総裁と安倍首相とが会談を行う中、「政府は4月の月例経済報告で国内景気の基調判断を下方修正する」と報じられ、改めて追加金融緩和期待が台頭することに。

16日には、麻生財務金融相が「株式についてはGPIFが6月から動くので外国人投資家が動き出す可能性がある」と発言し、日経平均の急騰を誘うと、それに連れて、ドルの上値を試す展開となった。

週末にかけては米長期金利の急上昇を受けて1ドル=102円台半ばまでドル高円安が進んだ。日経平均は大きな窓を開けて下落していた10日の安値14234.45円を完全に回復してきたことで買い戻しが加速し、結局14500円台を回復して週末の取引を終えている。

8日の黒田日銀総裁の記者会見は、初のリアルタイム中継とあって市場参加者が食い入るように見守っていたが、市場参加者に伝わってきたことはただひとつ「緊張感の無さ」だった。金融政策決会合の声明内容をほぼ繰り返した後、市場が注目していた「追加金融緩和」については「現時点では考えていない」と明言。また、「需給ギャップはかなり縮小してきているとみられる」との見解を示したほか、「2014年度終わりから2015年度にかけて物価安定目標2%に達する可能性が高い」と、現状の「量的・質的金融緩和」に自信を示した。

市場では、海外勢を中心に4月30日の日銀金融政策決定会合での追加緩和を期待していた向きが多かったこともあり、「楽観的な見通し」に対して「違和感を持った」参加者は多かったようだ。そして、そこに「ネクタイ事件」が追い打ちをかけた。質疑応答で「初めてのリアルタイムでの会見で、心構えの変化や気を使ったことなどはありますか」と問われた黒田日銀総裁は、「ネクタイの色を考えたくらいですかね」と、笑みを浮かべ、エルメスのネクタイに触れながら答えた。実際は「従来以上にメッセージが直接素早く伝わるようにしたい」というのが本音と考えるが、海外勢は、軽さすら感じる危機感の無さに失望せざるを得なかった。この記者会見が、ドル高円安を期待していたポジションのクローズを決定させたかもしれない。

その後、政府当局から動きが出ている。15日、安倍総理と黒田日銀総裁がおよそ4ヶ月ぶりに会談。前日に「月内にも会談が実現する見通し」と報じられていたこともあり、最近の株安円高に対する総理の危機感からの会談だったと見るのは自然だろう。会談後、黒田総裁は「『必要であれば』躊躇なく追加の金融緩和に踏み切る」などと発言。新味がある内容ではなかったが、総理と会ったということで、追加緩和が早まるのではないかとの観測も台頭している。更に、翌16日、麻生財務相が「GPIFは今年の6月ぐらいから動き出すので海外勢も動き始めるのではないか」と明言した。この発言を受けて株価は急上昇し、日経平均は下抜けしたサポートラインを上に抜き返し、下降トレンドの突入を回避している。しかし、株価は金融緩和と公的資金に支えられている、ということが露呈してしまった。

外国人投資家は、本格的に日本株を買いに出る姿勢は見せていない様子。イースター休暇が明ける来週以降、外国人投資家がアベノミクスに再び食指を伸ばすことがあるのかどうか。株式相場は正念場を迎えている。

ドル円は、引き続き底堅い動きを予想している。週明けまでイースター休暇とあって海外勢不在の市場となるが、日経平均中心に堅調な展開となりそうだ。

ドルの下値では、16日のドル安値101.81円が目先の目処として意識されているほか、本邦実需勢の押し目買い意欲は相変わらず強く、下押しを丁寧に拾っていきたいところだ。ドルの上値では、一目均衡表雲上限が来週以降位置する103.01円が目先の目処として意識されているほか、4日のドル高値104.13円がレジスタンスレベルとなっている。日経平均次第では、上値を追う展開も予想される。

市場参加者からは「当局の株価防衛意識が強く感じられる」との声も聞かれており、イースター休暇明けの海外勢が腰の入ったドル買いを入れてくるのかどうかにも注目している。一部からは「既に欧州系年金資金の買いが観測されている」との声も聞かれており、注意したいところだ。

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