18日にFOMCで量的緩和の縮小=テーパリングが決定されたことを受けて、今週の外国為替市場ではドル高が進行。ドル円は週末には一時1ドル=104円台半ばまでドルが買い進まれ、年初来高値を更新した。株式市場では日米ともに株高が進行。市場関係者はとりあえずバーナンキFRB議長の一足早いクリスマス・プレゼントを歓迎した形となった。
テーパリング開始を決定したFOMCの声明文は、資産買入れ額を来年1月から合計100億ドル減額する方針を打ち出している。しかし市場が最も注目したのは、異例の低金利を継続する期間のメド=フォワードガイダンスに関する部分。バーナンキ議長はこれまで、失業率が6.5%を下回ることを、実質ゼロ金利解除の条件として重視する発言を繰り返してきたが、今回の声明文では「失業率が長期間6.5%を下回っても、向こう1、2年のインフレ見通しが2.0%を下回る限り」ゼロ金利は解除しないという文言を付け加えた。
これに伴い市場は、金融政策の焦点が、失業率からインフレ率に移ったと判断。むしろゼロ金利政策が長期化すると受け止めて歓迎、これが株価の上昇につながった。バーナンキ議長も会見で「今回の措置が金融引き締めを意図するものではない」ことを繰り返し強調。「資産買取りの終了は2014年半ばではなく、2014年末くらいになるだろう」との見方を示したほか、「今後のFOMCで毎回減額ペースを検討していく」方針も表明しており、議長がイエレン副議長に交代する来年以降、減額ペースがさらにスローダウンする可能性もある。
ドル円は、来週にかけて引き続き下値の堅い展開を予想している。今回のFOMCの決定は米国経済にプラスと受け止められていることから、当面はドル買いが先行する展開が続くだろう。1ドル=105円水準には大量のドル売り注文が控えているとみられ、このレベルを突破するのは容易ではないが、逆にこの水準を突破してしまうと、一気にドル高円安が加速する可能性もある。
23日は天皇誕生日で日本が祝日となるほか、25日はクリスマスで東京市場以外が全て休場。翌26日もボクシングデーで祝日の国が多い。市場参加者が大幅に減少するため、出来高が極端に縮小し、逆にレートが大きく動きやすくなるので注意が必要だろう。