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2013年11月30日放送

ドル円相場は、週明けの25日に発表された米国の住宅関係の指数が市場予想を大幅に下回る弱い数字となったことを受けて、ドルの戻り売りが先行。一時1ドル=101円14銭まで下落した。ただ、101円台前半の水準ではドル買い意欲が強く、その後は底堅い展開に。27日には新規失業保険申請件数をはじめ、米国の経済指標が軒並み強い数字だったことを受けてドル買いが加速。一時102円61銭までドル高円安が進んでいる。

20日に公表された「公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に対する有識者会議」の最終報告書は、国債による運用比率の引き下げとリスク資産の増加、国際分散投資を促す内容。市場では、株高と円安につながる運用方針の変更と受け止められたものの、今後のポートフォリオの変更について、報告書には具体的な言及はなかった。

ところが座長の伊藤隆敏氏がその後、テレビ出演で基本ポートフォリオの変更に言及。運用比率の変更について以下のような具体的な数字を上げて説明した。

【国内債券】現行60%→当面52%→将来35%
【国内株式】現行12%→当面17%→将来20%
【外国債券】現行11%→当面13%→将来20%
【外国株式】現行12%→当面13%→将来20%
【短期資産】現行の5%を維持

運用総額を約120兆円と考えると、比較的短期の間に国債を9.6兆円売却、国内株式を6兆円買い増すほか、外国での債券や株式投資のため外国為替市場で3.6兆円の円売りが見込まれる計算になる。こうした変更が実施されれば、今後は円安、株高がさらに加速する可能性が強い。一方で、国債価格の下落を誘発しかねないという懸念もあるが、それを日銀が「量的・質的金融緩和政策」の大義名分のもと引き受けるというシナリオを描くこともできる。

今回の報告書作成に当たっては、安倍首相の強い指示があったとの見方もあり、現政権はあらゆる手を使って、政治主導でミニバブルを作るという方針だろう。実際には厚労省からの強い抵抗も予想されるが、市場では「方向性は変えざるを得ない」との見方が広がりつつある。来年からの消費税率引き上げを受けた景気減速を何としても防ぎたい安倍政権は、国策相場を作り上げようとしているのかもしれない。

ドル円は、来週にかけて引き続き上値を試す動きとなりそうだ。週末12月8日に発表される11月の米国の雇用統計次第で大きく相場が動く可能性もあるが、基本的にはドルの下値を拾いたい向きが多く、1ドル=101円台を割る可能性は低い。ドルの上値では5月22日の年初来高値103円74銭がとりあえずのメドとして意識されている。しかし日本の機関投資家のドル買い意欲は強いことから、十分なスピード調整がないまま、さらに円安ドル高が加速する可能性もある。

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