米政府機関の一部閉鎖を受けて延期されていた9月の雇用統計が22日に発表された。結果は非農業部門の雇用者数が14.8万人の増加。市場予想が18万人だったこともあり、市場では一気にドル売りが進んだ。
ユーロ・ドルは2月1日の年初来高値1.3711ドルを抜けて上げ足を速め、一時1.3792ドルまで駆け上がった。一方のドル円は97円86銭までドル安が進んだものの、その後は一転してドル買い戻しの動きが強まり、98円台半ばまでドル高に振れるなど、ユーロ・ドルの動きとは整合性が取れない展開となった。
こうした市場関係者の気迷いの背景にあるのが、米国の金融政策の先行きに対する不透明感。9月の雇用統計の数字を悪化と受け止めた市場では、FRBの量的緩和の縮小が来年に先延ばしされるのではとの見方が広がっている。イエレンFRB副議長が次期議長に就任する3月のFOMC以降に先送りされる可能性までささやかれているのが現状だ。
ただ事態を複雑にしているのは、12月のFOMCで量的緩和の縮小が決定される可能性が残っていること。米議会が可決した債務上限引き上げ法には、上下両院からなる超党派の予算委員会の設置が、12月13日までの期限付きで盛り込まれた。既に上下両院の委員長がブレックファストミーティングを開いて、お互い予算案合意に向けた前向きな議論が交わされている。
12月のFOMCが開かれる17・18日の直前の13日が期限となっている予算委員会で、しっかりとした合意が成立した場合には、12月からの縮小開始が決定される可能性もあることを念頭に入れておきたい。
ドル円は、こうした議会の予算協議や金融政策の先行きを巡る思惑などが絡み合い、来週にかけて神経質な展開が予想される。29・30日にはFOMCが予定されているが、量的緩和の縮小は行われないとの見方が大勢。一方、月末にかけては日本企業の実需買いも予想されるため、大きくは動きづらいものとみられる。