週末にオバマ米大統領と米下院共和党との米債務上限を巡る折衝がまとまらなかったことを受けて、外国為替市場では週明けからドル売りが加速。一時97円99銭までドル安円高が進んだ。
しかし米上院での折衝が開始されると、ドル買い戻しの動きが先行。ダウ平均株価の上昇もドル買いを後押しした。週末にかけては、事態が目まぐるしく変化したものの、結局は債務上限の期限となる17日の数時間前に上院の与野党が合意。下院での議決を経て、オバマ米大統領が署名し、米国の威信をかけた壮大なチキンレースが終わった。
ドル円は一時99円01銭までドル高円安に戻ったものの、債務上限法案の可決を受けて材料出尽くし感が広がり、その後は売りが先行する展開になり、一時97円74銭まで売り込まれる場面もみられた。
オバマ大統領がサインした暫定予算は、来年2月7日までの債務上限問題の先送りに加え、1月15日までの米政府機関の運営予算を確保するもの。また、上下両院の超党派で予算委員会を今年の12月13日まで設置し、この場でその他の予算問題での合意を目指すことになった。さらに、今後の議会折衝が長引いた場合の対処策として、米財務省が非常手段を用いて資金繰りを行うことも認めている。
ベイナー下院議長が「我々の敗北」と宣言したとおり、強硬派のティーパーティーへの配慮が行き過ぎたため、下院共和党が米国民の支持を失うという結果を招いた。ただ今回の暫定予算について、市場参加者の多くは「結局、問題を先送りしただけ」とみており、今後も「世界最大の自転車操業」が継続されることになった。
来週は22日(火)に発表予定の9月米雇用統計が重要なカギを握る。市場ではFRBの資産買取額の減少(テーパリング)が「予定の年内に開始出来ないのではないか」との声も高まりつつあり、雇用情勢次第では、米国の金融政策の先行きを巡り、様々な思惑が交錯することになるだろう。ドル円は、ドルの下値が97円台後半、上値は99円が抵抗線として意識されている。