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2013年10月12日放送

米国の財政債務問題は、オバマ大統領がアジア歴訪のスケジュールを変更し、結局APECや東アジアサミットも欠席するという決断を下したことから、市場では「週末になんらかの進展がみられるかもしれない」という期待が膨らんだ。しかし結局は何の進展もないまま週明けを迎えたため、ドル円は8日のオセアニア市場で一時96円55銭までドルが売り込まれた。

しかし、その後はオバマ大統領と下院共和党との間で、短期の債務上限延長に向け歩み寄りがみられたとの判断から、一転して買い戻しが先行。一時98円55銭までドル高円安が進んだ。先週末から米系の大手証券会社がこぞって「売り推奨」のレポートを顧客に送付していたこともあり、目先はドルをショートにしていた投資家も多く、あわてて買い戻さざるを得なくなったようだ。

ところが、事態は7日にオバマ大統領がベイナー米下院議長に直接電話をかけたことで一変する。共和党のキーマンであるベイナー議長によると、オバマ大統領は電話で「共和党が無条件降伏しない限り、交渉の場には座らない」旨を伝えたという。議長は「大統領からの電話には失望させられた」と語り、表向きは対立が深まっただけのようにみられたが、実は水面下で合意に向けた交渉が進んでいた。

オバマ米大統領は記者会見で「たとえ短期間でも政府機関の一部閉鎖解除や債務上限の引き上げに議会が合意すれば」との条件付きで、オバマケア見直しの交渉に応じる意向を表明。一方、共和党の有力議員はCNNの記者に対し「オバマ大統領が交渉を始めると約束してくれれば」との条件付きで、「共和党は連邦債務上限を4-6週間の短期間引き上げることを望んでいる」と語っている。

こうした動きを受けて、市場のムードは一気に「楽観モード」へと変化。ドルの買い戻しにつながったほか、日米の株式市場でも買戻しの動きが先行した。 ただ、仮に今回6週間の債務上限延長に成功したとしても、財政問題の根本的な解決にはならない。期限切れ前後には再びチキンレースが繰り広げられる可能性が強く、問題が先送りされただけに終わる恐れもある。

ドル円相場は、来週早々にかけて財政協議に何らかの進展がみられるのではとの期待から、当面はドルが底堅い動きとなりそうだ。ただ、米国の財政協議が暗礁に乗り上げるような事態になった場合は、市場の前提が崩れることになり、一時的な混乱もあり得る。

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