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2013年10月5日放送

ドル円相場は、週明け早朝のオセアニア市場からドル売りが強まる展開となった。米財政協議が時間切れとなる見通しとなったことを受けてドルが急落。一時97円50銭までドルが売られた。その後は買戻しの動きが先行する場面もみられたが、ダウ平均株価の下落を受けて再び下値を試す展開に。結局96円93銭までドル安円高が進んだ。

2日のアジア市場では、日本の機関投資家のまとまったドル買いが入ったとの見方もあったものの、こうしたドルの実需を突き抜ける形でドル安円高が進んでおり、米国のオバマ政権と共和党との財政協議の行方次第では、ドルの急落もあり得るという危険な状況になっている。

ワシントンでは、オバマ政権は「米政府機関の一部閉鎖」という17年ぶりの失態を演じる羽目となった。これに伴い、約80万人の政府職員が一時自宅待機を強いられているほか、NYでは自由の女神が閉鎖され、美術館などにも入場することが出来ない状態で、観光客の怒りを買っている。給料の未払いで米政府職員が住宅ローンの支払いに苦慮するといった事態にもなりかねず、次第に様々な局面で深刻な影響が出始めている。

米国の国税庁にあたるIRSでは90%以上の職員が自宅待機となっているため、銀行が個人の住宅ローンを実行する際の信用照会がほぼ不可能な状態に陥っている。4日に予定されていた9月の雇用統計の発表が延期されるなど、政府の各種経済統計もいつ発表できるか分からず、こうした先行き不透明な状況は株価の下落をも引き起こしている。

連邦政府の債務上限が引き上げられなければ、米国は前代未聞のデフォルトに陥るため、米財務省は「その悪影響は2008年の金融危機と同じか、あるいはそれ以上の危機と不況を招く恐れがある」と警告。このままではリーマン・ショック以上の危機を招くとの懸念を表明している。

米議会では、本当のデッドラインである17日(連邦債務が上限に到達する日)に向けた予算協議が続けられているが、オバマ大統領は「一切交渉しない」という強硬姿勢を崩していない。ただインドネシアで開かれるAPEC首脳会議を欠席して、共和党の説得に当たる構えもみせている。一方の共和党内でも、ティーパーティー寄りの強硬派主導の交渉に「行き過ぎ」との批判も出ている。

今回の債務危機は、米国のみならず世界経済を揺るがす危険性を秘めている。いわば世界経済を人質に取ったオバマ大統領と共和党とのチキンレース、その行方に世界の注目が集まっている。

ドル円は財政協議が予想以上に難航していることもあり、ポジション調整のドル売りが先行する展開が続いている。日本の機関投資家のドル需要は根強いものの、米国の財政問題が解決しない限り、ドル安円高が進む可能性が強い。95円台後半が当面の節目として意識されている。

連邦債務が上限に達する17日まで、オバマ政権と議会の折衝は続くとみられるが、もし解決に向けた何らかの動きがあった場合は、一気にドル高円安に振れる可能性もあり、ポジションのリスク管理に気が抜けない週末になりそうだ。

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