今週は週明けから外資系ファンドのものとみられるドル買いが先行。6日には一時1ドル=100円24銭まで買い上げられた。99円台後半から100円前後の水準では日本の輸出企業の円買いドル売りが膨らんだほか、オプションに関連したドルの利食い売りも相当量出ていたとみられる。ただ、FRBの量的緩和縮小開始をにらんで、米10年債利回りも一時3%を超える急上昇となっており、日米金利差の拡大を意識したドル買いが総じて優勢な展開となった。
海外ファンド勢は週明けのメイン・シナリオとして「東京オリンピック開催決定⇒日経平均の急騰⇒消費増税の予定通りの実施&法人税減税⇒日銀による追加金融緩和の実施⇒円安のさらなる進行」を期待しているようだ。このため、東京オリンピック誘致が失敗に終わった場合、週明けのアジア市場は波乱含みの展開になる可能性も否定できない。
しかしオリンピックの開催都市決定を巡っては、東京にも放射能汚水問題という大きな弱点がある。株式市場はともかく、外国為替市場で投資家がどこまでオリンピック招致を前提としたポジションを取っているかは疑問。むしろ市場関係者の関心は、消費増税が予定通り実施された場合の日銀の金融政策の変化に集まっているこれまで追加緩和には消極的と受け止められていた黒田日銀総裁が、消費増税を前提に追加緩和に踏み切れば、一層の円安要因として働く可能性が強い。
緊迫が続くシリア情勢は、オバマ大統領がベイナー米下院議長など有力議員の説得に成功したこともあり、米軍のシリア軍事攻撃が現実味を帯びてきている。正式決定は週明け9日からの本議会を待つことになるが、限定的な攻撃ならほぼ織り込み済みとの見方が多く、市場の波乱要因になる可能性は低い。
ドル円相場は、当面のテクニカルな抵抗線とされていた99円30銭を抜けてきたことで、ドルはさらに上値を試す動きとなりそうだ。株式市場は、東京オリンピック誘致の結果に影響を受ける可能性もあるが、外国為替市場では、仮に誘致失敗に終わった場合でも、反応は限定的だろう。直近のドル買いポジションは積み上がっているが、市場関係者の目は、むしろ日米金融政策当局のスタンスに向けられている。
テクニカルなドルの下値のメドとしては、3日の安値99円16銭が意識されている。上値では、5月22日の高値103円74銭が視野に入っている。