ドル円相場をややロングレンジで振り返ると、2007年6月22日のドルの高値124円14銭から始まった長期円高局面は、史上最安値となる2011年10月31日の75円31銭で終了。現在は昨年末からのアベノミクス相場がその戻り局面を形成している。
5月22日に103円74銭まで買い戻されたドルは、6月13日には一時93円75銭まで急落。その後は100.00円を挟んだ神経質な動きとなった。短期的に見ると、円高修正局面は終わったようにもみえるが、長期的な円安ドル高トレンドは変わっていない。
米国ではFOMCの政策に不透明感が漂っているが、基本的に米国の経済は強い。市場ではFRBによる資産買い取りの縮小がいつ始まるかを巡って憶測が飛び交っているが、仮に9月に始まるにしても、12月に先送りされるにしても、年内に量的緩和の縮小が始まるのはまず間違いない。
一方で、“異次元“の量的・質的金融緩和を続ける日銀は4月以降、マネタリーベースの増加を、予定を上回るスピードで進めている。市場関係者の夏休みもほぼ終わり、今後は9月相場をにらんだ仕込みが本格化するこの季節になっても、日米金融政策の方向性の違いは明らかであり、長期的には円安ドル高傾向は続く可能性が高い。
月足で見ると、7月までの相場は1ドル=100円が重要な分水嶺となっている。テクニカルな節目は105円台半ばにあると思われるが、この水準を抜けてくれば円売りが加速する可能性もあり、一気に124円台まで円安に進む可能性も排除出来ない。