今週は投機筋とみられる売り仕掛けを受けて円高が進行。7日には重要な抵抗線として意識されていた97円50銭を突き抜けて、8日には一時95円81銭までドルが売り込まれている。ただ、その後は日本の機関投資家のものとみられるまとまった買いも入り、もみ合いに転じた。
アメリカの金融政策の先行きが不透明になっているため、市場は方向感を失っている。先日発表された雇用統計でも失業率は低下。その他の経済指標を見ても、アメリカの景気が弱くなってきていることを示すような指標は見当たらない。にもかかわらず、FOMCは景気に対する認識を下方修正。こうした不可解な動きに、市場関係者も戸惑いを隠せないでいる。
こうした不透明な環境下、今週は夏休みを前にしたポジション縮小のための円買い・日本株売りが広がった。日本政府が防衛線にしていたとされる97円50銭のラインを突き抜けたことを受けて、海外の投機筋中心にドル売りを仕掛ける動きもみられた。
一方で1ドル=96円台まで円高が進むと、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などの国内機関投資家のドル買いが今週も見られた。こうした長期投資の資金が、結果として円高の加速を阻止してる。これに対し日本の輸出企業からは、98円台での円買いニーズが控えており、円安の進行を抑える効果をもたらしている。
日本企業はこれから本格的な夏休みシーズンに入る。アメリカの金融政策の不透明感ともあいまって、ドル円相場は当面96円台から98円台を中心に、値幅の限定的な展開になりそうだ。