今週は当初、ファンド勢のものとみられるドル買いが先行。一時100円49銭まで円安ドル高が進む場面もみられた。しかし6月の米小売売上高が市場予想を下回る弱い数字だったことを受けてドル売りが膨らみ、一時98円90銭近くまで逆に円高に振れた。17日は、バーナンキFRB議長の議会証言を受けてドル売りが先行したものの、その後は買い戻されるなど、議会証言に対する市場の「気迷い」がうかがえる反応となった。
そのバーナンキ議長の議会証言では、焦点の資産買い取りの縮小について「事前に決まっていることではなく、規定路線ではないこと」を確認したうえで、FOMC後の定例記者会見で宣言した通り「2013年末までには縮小を開始し、2014年半ばには終了する」方針を改めて表明している。
さらに「長期的に正常な失業率は5.2−6%」との認識を示したうえで、「資産買い取りを終了する目安となるのが失業率7%」と具体的な数字を提示した。
異例の低金利を終了させるメドについては、FOMCの声明で以前から失業率6.5%という水準を示している。このため今回の議会証言を経て、資産買い取り終了のメドが失業率7%、異例の低金利を終えるメドが同6.5%と明示されたことになり、ようやく量的緩和の出口への道筋がはっきり見えてきた。
バーナンキ議長が出口戦略を明確にしたことで、5月や6月に起きたような暴力的な株価の下落や急激な円高が再現されるとは考えにくくなった。参院選後の市場の反応を見極める必要もあり、現状ではまだはっきりとした方向性は見えていないが、日米の金融政策の方向性の違いを考えれば、緩やかな円安ドル高の動きが続きそうだ。