ドル円相場は引き続きドルの底堅い動きが続いている。2月後半には、イタリア総選挙の結果を受けて金融市場全体でリスク回避の動きが進行。ドル円相場も90.85円まで円買戻しの動きが先行した。しかし、その後は再び円売りが先行する展開となり、今週は海外市場でついに96円台まで円安が進んだ。
最近のドル円相場は、日米双方にいくつもの円安要因が重なっている。日銀は8日に発表した3月の金融経済月報で、景気の現状判断を「下げ止まっている」に変更。2月の「下げ止まりつつある」から上方修正した。景気判断を3カ月連続で上方修正するのは、2009年9月〜11月以来になる。さらに同日の金融政策決定会合では、投票権を持つ審議委員から無期限緩和の前倒しなど、金融緩和強化の提案が相次いだ。
また、米国サイドから見ても、住宅市場の活況や雇用環境の改善といった経済指標面でのドル高要因に加えて、バーナンキFRB議長が日銀の緩和政策を支持する意向を表明。今のところ米国サイドから円安を牽制する気配は見られない。
ドル円相場は、ドルの下値がしっかりした展開が今後も継続することになりそうだ。ユーロ円もユーロの底堅い動きが続いている。世界的に株価が堅調に推移するなか、外国為替市場も比較的安定した動きが続くだろう。