注目されたアメリカの大統領選挙は現職のオバマ氏が勝利した。しかし、直後のニューヨーク市場のダウ平均株価は急落。当面の下値抵抗線とみられていた1万3000ドルを、あっさり割り込んでしまった。
この動きは、大統領選と同時に行われた米議会選において、共和党と民主党の多数派が異なる「ねじれ現象」が解消されなったことが大きく影響している。「財政の崖」問題の解決に向けて、妥協が成立するかどうかが分からないため、市場の強い懸念材料になっている。
ただ、株価は軟調な動きを示しており、サポートとなっていた13000ドルを下回ることとなっている。
「財政の崖」とは、米国でブッシュ政権時代から段階的に導入したブッシュ減税(社会保障税の減税や所得減税)などが2012年12月末で期限切れとなり、加えて2013年1月2日からの国防費を中心とした、連邦予算の強制削減の開始などが重なる、急激な財政緊縮を指す。
減税と歳出削減が同時に起これば、2013年1月から最大でGDP2.7%相当の財政緊縮となるとの試算もある。
「財政の崖」問題が今後も市場の大きな懸念材料になるのは間違いない。
米国の選挙結果に伴う株価下落を受けて、円相場は再び円高ドル安に振れている。FRBの追加緩和への期待もあり、当面は円高方向への動きに注意したい。