米主要企業の決算が冴えないことなどを受けて、ダウ平均株価は約1ヶ月半ぶりの安値をつけるなど、軟調な動きを見せた。もっとも、これまでは米国の株安と円高ドル安が同時に進むことが多かったが、最近の外国為替相場はむしろ円安が進行。ドル円相場はドル買いが先行する展開となり、今年6月以来となる80円台をつけた。
今回の円安の動きには複数の要因が考えられる。一つは、もともと円売りポジションがそれほど積み上がっていなかったために、株価が崩れてもリスク回避の円高が起こりにくい状況であったということ。
もう一つは、日本の経済構造の変化。22日に発表された貿易統計(通関ベース)によると、9月の貿易収支は5586億円の赤字となった。9月の赤字幅としては過去最大。月ごとの金額にはバラツキがあるが、日本の貿易赤字は構造的なものになってきている。今のところ所得収支の黒字幅の方が大きいため、経常収支は黒字を維持しているが、経常黒字が減少傾向にあることは紛れもない事実だ。こうした日本経済の構造の変化が、円高圧力の低下につながっている。
加えて、市場で最近、話題になっているのが、30日の日銀の金融政策決定会合。先月9月の会合に続いて、今月も金融緩和に踏み切るのではとの観測が広がっている。2ヶ月連続の緩和となれば、りそなホールディングスへの資本増強を決めた2003年5月以来9年半ぶりの異例な事態となる。
外国為替相場の動きについては、もう少し、円安方向に推移する展開を想定しておくべきかもしれない。
ドル円相場は日銀の金融緩和期待などもあり、引き続き円安方向に推移する公算が大きい。ユーロ円に関しては、欧州の財政不安が根強いため、若干円安に振れることがあったとしても、限定的な動きになりそうだ。