欧州は過剰債務問題が根本的な解決には遠く、厳しい状態が続いている。ただ、厳しいのは欧州経済だけではない。BRICsに目を向けてみても、中国の今年第2四半期の成長率は前年同期比7.6%。2009年第1四半期以来、3年ぶりの低水準となっている。またインドも第1四半期が前年同期比5.3%にとどまり、こちらは2004年以来の低水準。ロシア、ブラジルのGDPも冴えない動きとなっている。
世界市場を牽引してきた新興国経済は、非常に厳しい局面を迎えている。
ただ、そんななかで注目しておきたいのが米国の動向。今月3日に発表された雇用統計では、非農業部門の雇用者数の増加が、市場予想の10.0万人を上回る16.3万人となった。一般に増加幅が20万人を超えると好況であるとされており、その水準に近づきつつある。また、FHFA発表の住宅価格指数やケース・シラー都市指数なども、好調な動きを示している。米国経済の鍵を握るのは、住宅市場と雇用環境の2つであることから、この2部門で明るい兆しが見えていることは注目に値する。
まだまだ先行きについて強気になれる環境とは言い難いが、米国の住宅と雇用関係の統計には、今後もしっかりと目を向けておく必要がある。