今週半ばにはユーロが買い戻される動きもみられた。ただ、これはユーロの下落ペースが速かった反動で買い戻されただけで、ユーロ圏に関するポジティブな材料が出てきたからではない。
米大手格付け会社ムーディーズは23日、ドイツ、オランダ、ルクセンブルグの格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブに」に変更。今後は格付けを引き下げる可能性が高いとの見方を示した。ムーディーズは、欧州の債務問題の先行きに不透明感が増していると指摘。ギリシャやスペイン、イタリアなどへの支援は、これら格付けの高い国が最も重い負担を担うことになると警告している。
また、スペインの国債利回りも上昇。10年物国債の利回りは25日に一時7.7%を上回った。1999年のユーロ誕生以来の最高水準となっている。週末にかけ落ち着きを取り戻しているが、これは8月2日のECB理事会で追加金融緩和が行われるのではとの期待が先行しているに過ぎない。スペインのリスクが増していることに変わりはない。
ユーロ圏は引き続き大変厳しい状況となっている。そして、その動向が引き続き世界経済の足かせになっている。
ユーロ円はこれまで急速にユーロ売りが進んだ反動で、目先のところはユーロ買いが入っている。ただ、ユーロ圏の財政問題・景気減速が深刻であることに変わりはない。次第に上値が重くなるだろう。ドル円は基本的には材料不足。方向感なく推移することになりそうだ。