26日、米格付け会社のS&Pがスペインの格付けを「A」から「BBB+」に引き下げた。その理由として『スペインの経済成長および財政状況に対してかなりのリスクがあること』を挙げている。
S&Pは1月にもユーロ圏17カ国中、9カ国の国債を一斉に格下げしている。そして欧州系のフィッチ・レーティングスも1月に、アメリカ系のムーディーズも2月にスペイン国債の格付けを引き下げた。今回のS&Pの判断を受け、他社も再度の格下げに踏み切る可能性がある。欧州各国の国債格付けの行方に再び市場は注目している。
さらに、欧州の問題は「格付け」だけにとどまらない。ギリシャでの少数政党乱立による意思決定のスローダウンが懸念されている。
ギリシャでは来月6日に総選挙が実施されるが、選挙管理委員会の役割を担う最高裁は、公認を申請した36党中、32党を認めた。債務危機を受けた緊縮策導入に際しては、中道右派と左派がパパデモス政権を支えた格好だったが、このことで既存政党に対する国民の不満は高まって支持が急落した。少数政党が相次いで発足しているのは、その不満の受け皿としてなのだ。
仮に少数政党が躍進して、ギリシャがやっとのことで導入した緊縮策を見直す機運が高まった場合、EUなどからの支援が打ち切られる可能性も出てくる。そしてこれはヨーロッパの信用不安再燃につながるおそれもある。欧州全体の動向に直結しかねない選挙の行方が非常に注目されている。
さて、来週のマーケットだが、欧州問題は依然として根強いものの、今のところ決定的な要因に欠ける。このためドル円・ユーロ円ともに方向感に乏しくなっている。今週と同じような展開が続くと考えられる。