日本は今、金融をめぐって二つの大きな問題を抱えている。まず1つ目がデフレ問題。消費者物価指数は2009年後半の−2%を下回る水準からは持ち直しているものの、前年比で0%を挟んだ推移となっている。このレベルからなかなか上に抜けられていないのが現状だ。
そしてもう一つの大きな問題が「円高」だ。一時は75円台をつけ、戦後最高値を更新したことは記憶に新しい。その後、2月から3月にかけて、流れは円安方向に傾いたものの、依然1ドル=80円台前半と高い水準での推移となっていることに変わりはない。
そして「デフレ」「円高」の2つ問題に共通する要因の一つが、日銀による金融緩和の不十分さとみられている。グラフは2008年1月からのFRBと日銀それぞれのバランスシートがどの程度拡大したのかを示したものだが、FRBは積極的な量的緩和策の導入で300%(3倍)になっているのに対して、日銀は140%(1.4倍)とさほど拡大していないことがわかる。さらなる積極的な量的緩和を行うことで「デフレ」「円高」の流れを食い止めることが、日銀の急務であるといえよう。