アメリカの住宅関連指標で好調なものが目立っている。今週発表された「住宅着工件数」は市場予想を若干下回ったものの前回発表とほぼ同じ69.8万件。「建設許可件数」は市場予想の68.6万件を大幅に上回る71.7万件となり、前回の68.2万件も大幅に上回った。
更に「中古住宅販売件数」も459万件となり、前回の463万件とほぼ同水準となった。これまでの傾向を確認してみると、昨年2月以降450万件を下回る状態が続いていたが、今年に入って1月、2月と連続して450万件を上回る数字が続き、住宅販売の回復が見て取れる。
ただ、住宅市場について手放しで安心出来る状態ではない。懸念材料として挙げられるのが住宅価格。「S&Pケース・シラー住宅価格指数」は昨夏にかけて一時持ち直しの動きが見られたが、ここにきて再び低調な動きを見せている。
アメリカは住宅価格が上がるに従って、資産効果から個人消費が増える傾向がある。しかし、このように住宅価格が低調な状態だと、住宅の資産価値が上がらず、また個人消費も増えていかない。その結果として、景気回復にも時間を要することになる。雇用環境などアメリカ経済は明るい材料が散見されるが、住宅の本格回復まではもう少し時間を要するかもしれない。
住宅価格はさえないものの、雇用指標の回復などを背景に経済環境は決して悪くない。そのため、大きく崩れる可能性は考えにくい。ドル円・ユーロ円ともに高値圏でもみあうことになりそうだ。