金融市場が全体的にしっかりした動きを見せている。背景として考えられるのは3つの理由。1つ目は、EUがユーロ圏財務相会合で、EUとIMFがギリシャ向け第2次金融支援に合意したことなどでユーロ圏の問題が落ち着いていること。2つ目は、日中米で依然として金融緩和が進められていること。そして最後に、アメリカ経済が思われていたほど悪くなく、雇用などを中心に良好なことがある。
実際に一例として、アメリカ経済に目を向けてみよう。今週10−12月期米GDP改定値が発表されたが、市場は速報値と変わらない2・8%を予想していた。この数字だけでも、7−9月期米GDPの1.8%を上回る十分な数字であったが、フタを開けてみれば、実際は3.0%と力強い回復を示した。
こうした好材料が、金融市場の安定に寄与している。ドル円相場は27日月曜日に昨年5月31日以来となる1ドル=81円66銭をつけ、その後80円から81円台でレンジを維持。そのほかのクロス円を見ても、堅調である。
また株価のほうを見ても、日経平均は9500円台を突破。その後も底堅く、週末金曜日は9777円で引けた。NYダウも終値で1万3000ドルに接近し、高値圏での推移となっている。
ただ、ドル円を見てみると、2月2日につけた安値76円05銭から大きく上昇し、1か月近くの間、堅調な動きを示した格好だ。株価にしても、1万円という大台に近づき、少し一服感が出て来やすい水準となっている。
経済環境は変わっていないため、為替にしろ株にしろ、現在の動きが大きく崩れることは考えにくい。ただ、マーケットは随分とこれまでの材料を織り込みつつあるので、ここからは新規の材料待ちのムードが強くなり、動きが鈍くなってくると予想される。
基本的な相場環境に変化はなく、下値がしっかりしているため、ドル円・ユーロ円ともに円高に向かっていく可能性は低い。ただ、ここから更に円安に向かうには新たな材料が必要となりそうだ。現在の水準でもみあう展開を想定しておきたい。