株式市場は世界的に上昇傾向となり、NYダウは3年9ヶ月ぶりの水準へ、そして、日経平均は9500円代にまで回復している。為替市場も円安傾向が続きドル円は22日、7月11日以来となる80円40銭をつけた。この株高・円安(ドル高)の要因は2つ考えられる。
1つ目は米・FRBを始めとした、各国の金融緩和。アメリカでは失業率が8.2%にまで減少し、毎月の雇用者数の伸びも20万人程度にまで回復。さらに中古住宅販売件数など、住宅市場でも明るい兆しが見えている。
それにもかかわらずFRBは現在の例外的な金融緩和を従来の2013年半ばまでから、2014年後半にまで延長することに言及。これに加え、日銀が新たな金融緩和策を発表し、さらに中国の中央銀行が預金準備率の0.5%引き下げを発表した。この2か月連続の金融緩和をマーケットが好感しているかたちだ。
景気回復期においても金融緩和が継続されるということになれば、当然、株式市場に資金が流入しやすくなる。
世界的な株高を支える2つ目の要因はギリシャショックの緩和である。21日、EUはユーロ圏財務相会合で、EUとIMFによるギリシャ向け第2次金融支援を合意した。ギリシャは3月20日に145億ユーロの国債償還を控えており、この資金繰りが強く懸念されていたが、今回1300億ユーロの追加融資が決定したことで当面のデフォルトリスクが回避されることになった。
ギリシャの財政危機は根本的に解決されたわけではなく、まだまだ懸念は残るものの、当面の混乱は避けられたといえるだろう。このため、金融市場では比較的リスクを取りやすいムードが広がり、現在の株高・円安を演出しているとみられる。
この傾向は、次に何らかの混乱要因が出てくるまで継続する可能性が高い。混乱要因としてはイラン問題の深刻化、欧州の債務問題の再燃などが想定されるが、それまで安定した動きが予想される。
各国の金融緩和、ギリシャ問題に対する一時的な安心感で、株高そしてドル高円安が全体的に進みやすくなっている。ドル円・ユーロ円ともに、引き続き円安方向への推移が続きそうだ。