日銀は、今週14日の金融政策決定会合で政策金利の据え置きを決めた。また同時に発表された声明で、図の3点が示されている。
最も重要なのは、1番目の「中長期的な物価安定の『目途』」を新たに導入した点。日銀はこれまでも「中長期的な物価安定の『理解』」として物価上昇の範囲を示していたが、先月にFRBが打ち出した「長期的な物価目標」に比べてわかりにくい、という声が聞かれていた。
また、これまでの『理解』は、あくまでも「日銀の各政策委員」がそれぞれ判断しているものに過ぎなかった。しかし今回『目途』として打ち出して「前年比上昇率1%」という数値は、日銀が主体的に出したものである。日銀が一致団結して消費者物価の目標を定め、それに向かう方策をとるということであり、この意味は非常に大きい。
今回の日銀の決定で市場参加者は、金融緩和や物価上昇にむけて日銀が本気になっていることを、感じ取った。金融市場を見るとそのことが顕著に現れている。日経平均は大幅に買われ、昨年8月5日以来、半年ぶりに9400円台を回復。ドル円相場も一方的にドル高円安が進み、週末には79円台をつけることとなった。
また、今週は金融緩和だけではなく、アメリカの「新規失業保険申請件数」や、「住宅着工件数」などが強い結果となり、ドル円の押上要因となっている。株高・円安の相場環境はもう少し続くことになりそうだ。
日銀の声明を受けて、円相場は円安が進みやすくなっている。ドル円相場は先週に続いて円安が進んでいるが、この動きがもう少し継続することになりそうだ。
ユーロ円についても、日銀の声明を受けて円安に進みやすい。ただ、ギリシャに対しての方策がまとまらず、ユーロ圏に対しての懸念は残るため、円安とユーロ安が拮抗し一方的な動きは起こりにくそうだ。