24・25日にFOMCが開催され、FRBは政策金利の据え置きを決定した。その後の声明では、これまでは「例外的な低金利を2013年半ばまで正当化」するとしてたものを「例外的な低金利を2014遅くまで正当化」と発表し、「時間軸」の強化を行った。
これにより、金融緩和がこれまでの想定以上に長く続くとの期待から、市場で金利は押し下げられ、逆に株価は上昇することになった。また為替相場ではドル安が進み、発表前に1ドル=78.30円だったドル円相場は、発表後からドル売りで反応し、この金曜日には1ドル=76.90円程度まで下げている。
今月発表されたアメリカの雇用統計では「非農業部門雇用者数」の変化が予想の15.5万人を上回る20万人。「失業率」は8.7%の予想に対して低い8.5%となり、共に予想より強い結果となった。また、低迷が続いていた「住宅着工件数」「建設許可件数」も徐々に回復。これら指標の改善傾向から一部では、今回のFRBの声明はタカ派的(引き締め方向)に傾くと見られていただけに、時間軸を変更するかたちでの金融緩和の継続はサプライズとなった。
今回のFOMCで明らかになったのが、FRBがアメリカ経済に対して引き続き慎重な見方をしていること。特に顕著に現れているのが、アメリカの経済予想だ。実質GDPについては2011年11月の発表内容より、2012年、2013年といずれも下方修正している。確かに経済指標は若干強いものが続いたが、実際の見通しは厳しいことに変わりはない。市場からは「今回の声明でFRBは、マーケットに対して釘を刺した」との意見も出ている。
いずれにしても、指標が少々強かったとはいえ、欧州債務問題がアメリカ経済の足を引っ張る可能性もあり、先行きはそれほど明るくはない。欧州同様、アメリカ経済についても楽観視は禁物だろう。
ユーロは、年末からユーロ売りが大きく進んでいた分、ユーロの買い戻しで値を伸ばしていた。ただ、上昇の勢いが鈍くなっており、そろそろ一服することになりそう。ここからは再び上値が重くなりそうだ。
一方ドル円相場ではFRBがハト派な声明を発表したことでドルの上値が重い。ドル安円高がもう少し進む可能性を意識しておきたい。