最近、アメリカに関する材料で少し良好なものが出てきた。6日(金)に発表された、2011年12月の雇用統計では、非農業部門雇用者数変化が市場予想の15・5万人を大幅に上回る20・0万人、失業率も予想の8・7%より強い8・5%となった。
雇用統計の好結果の背景にあるのは、天候に恵まれたことで観光客や、建築、余暇サービス部門などで雇用が増大したこと。さらに年末商戦(ネット販売の増加)を背景に運輸部門が増加したことなどがあり、実体はそれほど強くないといった慎重な意見もある。
ただ、非農業部門雇用者数の上方への変化だけではなく、雇用指標の中でも遅効性があるといわれている失業率も回復。また、NYダウは1万2500ドル手前辺りでの推移が続き、下値がしっかりしている。来月の雇用統計で民間部門の雇用者数が15・0万人を超えてくるようだと、アメリカ経済の先行きに対してもう少しポジティブな意見がでてくる可能性がある。
また11日に発表されたベージュブックでも全体としてはそれほど悪くない、という判断が垣間見える。まず「経済は全国的に穏やかないし、まずまずのペースで拡大」という文言から始まり、「7地区は穏やかな成長、1地区は停滞かわずかな伸び」、「個人支出は年末商戦が強かったため、上向いた」としている。
さらには「賃金の上昇圧力は全体的に緩やか」「居住用不動産市場はさえないままである。商業用不動産が幾分緩慢であるが、いくつかの地域で改善の兆しが示されている」という記述もある。
欧州債務危機が世界経済全体の足を引っ張っており、アメリカだけが圧倒的な一人勝ちをするほど簡単な環境ではない。とはいえ、アメリカと欧州では少し雰囲気が異なってきているため、今後のマーケット動向には十分気を配りたい。
ユーロに関しては引き続き債務問題が意識されて、売り圧力がかかるだろう。年末から100円を下回っての推移が続いているが、今後も下サイドへの動きに注意したい。
前述のようにここのところアメリカ経済に対して少しポジティブな見方が出てきている。ただ、ドルを積極的に買い上げていくには材料不足。また、ユーロ売り・円買いが進めば、ドル円でもドル安・円買いが進む可能性があるうえに、介入警戒感の後退もある。ドル円相場ではドルがもう少し下げる可能性にも注意しておきたい。