依然として予断を許さないユーロ圏で、今週も数々の話題が飛び出した。18日には「ECBがIMFに融資を行う案を協議する」との報道。22日には、IMFが欧州の債務危機などが各国の金融市場に波及することに備えて、新たに「6カ月間の短期流動性を供給する融資制度を導入する」と発表した。これらは、市場の安定化にむけたポジティブな材料といえる。
しかし、欧州各国の財政問題を根本的に解決する内容ではない。そのためこれらのポジティブな材料に対する市場の反応は鈍かった。23日に行われたドイツ国債の入札は不調に終わり、格付け会社フィッチは「このまま危機が拡大した場合、フランスの格付けに影響がある」との見方を示した。さらにフィッチは24日に、ポルトガルの格付けを引き下げている。こうしたネガティブ材料からユーロ売りが進んだ。
このような状況でユーロ圏各国が厳しい状況に陥っていることは明白だが、問題はユーロ圏だけに留まらない。NYダウ平均を見ると、10月後半には1万2300ドル台をつけ、その後も1満2000ドルを挟んで推移していた。しかし、ここ2週間で急速に値を下げ、1万12000ドル台まで下げている。
また、中国では物価上昇の緩和などを受けて、預金準備率を引き下げるとの噂も広がっている他、一部の中国メディアは「中国人民銀が浙江省の農村合作銀行6行の預金準備率を0・5%引き下げて16%に戻すことを認めた」と報じた。中国でも景気減速備えた動きが広がっているといえるだろう。
日本でも日経平均が軟調な状況。きのうの終値は8160円となり、一時年初来安値を更新する場面もあった。欧州で起こった債務問題が、世界的な景気不安を巻き起こしている。今後も厳しい状況が続くことを覚悟せざるを得ない。
ドル円は一時的にドルが上昇する場面があったが、積極的にドル買いを仕掛ける材料に乏しいことに変わりはない。上昇したところでは頭が重くなっている。ただ、介入警戒感もあるため、一方的に値を下げる展開ともならなそうだ。
一方、ユーロ円は経済・財政問題を背景にユーロ売りが進みやすい。引き続き、ユーロが下落する方向で考えておきたい。