中国経済の先行きに陰りが見られる。中国汽車工業協会が発表した9月の新車販売台数は前年同月比で5.5%増の164万6100台。昨年後半に記録した20%増と比べ、大幅に落ちこんでいて、10月はマイナスになる可能性も指摘されている。
また13日に発表された中国の景況感指数は129.4と、こちらも減少傾向が確認されている。更に、9月の輸出額は前年同月比17.1%増となり、事前予想の20%強を下回る結果に。欧米向けの輸出鈍化が目立ち、欧州債務問題が中国経済にも影響を与えていることが見てとれる。
このような動きを受け、中国が年内に預金準備率を引き下げるとの指摘も見られるように。昨年の年率10.4%という高成長が期待できないことと、経済の減速感がはっきりしてきていることが、引き下げの主な要因と考えられる。中国には依然インフレ問題が根強いため、引き下げを簡単に行う訳にはいかないが、その必要性は今後、活発に議論されるだろう。
景気減速とインフレを同時に抱える中国を尻目に、利下げを行う国も出てきた。先月はブラジルが2009年7月以来の利下げを決行。ブラジル中銀は、利上げから一転した理由を「世界経済の見通しが著しく悪化し、成長鈍化局面が想定以上に長期化する懸念が強まったため」としている。また今週はインドネシアがサプライズで2009年8月以来、2年2ヶ月ぶり利下げを行なった。足元の経済はしっかりしており、利下げは予防的な措置と言われているが、中銀は2012年の成長率見込みを6.5%とし2011年の6.6%より低く修正した。経済の先行きを強く懸念していることが伺える。
世界経済の減速感が強まるに連れ、今後も利下げの動きは世界各国で見られるようになるだろう。注目しておきたい。
ドル円相場では、先週1ドル=77円台半ばまで円が売られる場面があった。ただ、円が値を下げたところでは日本の輸出企業による円買いが散見される。一方的に円買いが進む展開でもないが、基本的には円高に向かいやすい基調が続く。ユーロ円は、ギリシャ問題が小康状態となっていることを背景に軟調な動きを見せた。ただ、問題が根本的に解決したわけではないので引き続きユーロの上値は重たいと考えている。