米格付け会社ムーディーズは4日、イタリア国債の格付けを3段階引き下げて「A2」とすると発表した。同社によるイタリアの格下げは約20年ぶり。格下げの理由は「政府の財政健全化目標が達成できない可能性があるため」などとしている。
イタリア議会は先月、2013年の財政均衡を目指した540億ユーロ(約5兆5300億円)の緊縮策を承認している。ただ、増税等による財政収入の増加を前提としているため、国内や欧州全体の経済動向に大きく左右される可能性がある。
加えて、ムーディーズは「最上級の格付けよりも低い格付けの欧州諸国は、今後更に格下げになる可能性がある」と指摘。最上級の格付けではない国で、高い格付けを維持できる国は少なくなると予想している。
なお、今週はBOEとECBがそれぞれ金融政策決定会合を実施。ここでBOEは2009年11月から2000億ポンドで据え置いていた量的緩和の規模を、2750億ポンドに拡大することを決定。ECBもカバードボンドの購入と期間1年以上の長期資金の供給を再開することを決定した。こうした判断は、景気の自律回復は期待できず、下支えには金融政策による支援が不可欠であることを示している。
欧州経済は様々な問題が連続的に発生しているが、もっとも注目されていたギリシャの問題は依然解決はしてない。そのことは、債券動向から明白だ。2年債、5年債、10年債と、それぞれの利回りは全て高水準を維持しているうえ、改善の兆しは見られない。ユーロでは各種対策をとっているが、それも焼け石に水であるということをマーケットは見透かしているのであろう。現在のような先行き不透明なマーケット環境は継続すると考えておきたい。
マーケットの先行き不透明感が強く、引き続き円高方向に向かいやすい環境となっている。ドル円は仮にドルが買い戻される場面があったとしても、上値は重いだろう。ユーロ円は週半ばから週末にかけてショートカバーが入った。ただ、ユーロ圏の財政問題は解決していないことからある程度買い戻されたとしても、すぐに冴えない動きになるだろう。