今週、20、21日にアメリカでFOMCが開催された。本来は20日のみの日程であったが、20、21日の2日間に延長することが8月26日のバーナンキFRB議長の講演で明らかになり、市場は新たな対策に非常に注目していた。
内容は、政策金利は予想通り据え置き。声明では「2012年6月末までに、期間が6-30年の米国債を4000億ドル購入し、3年以下の国債を4000億ドル売却する」「保有米国債の平均償還期限を延長」「8月以降の経済指標は、経済成長が依然ゆっくりとしていることを示している」「最近の指標は、全体の労働市場状況が継続して弱まっていることを示している」「異例の低金利を少なくとも2013年半ばまで維持する」としている。
なかでも、「長期国債を4000億ドル購入し、短期国債を4000億ドル売却する」ことを「ツイストオペ」というが、この対策は市場ではある程度織り込まれていた。その上、「経済見通しにかなりの下振れリスクがある」と悲観的な見方が示されたことで、特に米国株価が軟調な動きを見せた。
もっともFOMCで弱気な見方が示されたこと以外にも、株安を誘った要因は考えられる。その一つが、今回市場で期待されていた量的緩和の第三弾が行われなかったこと。量的緩和が行われることで株価が上昇すると見越していた市場参加者が、今回のFOMCを受けて、失望感から投げ売ったとの声が聞かれた。基本的に株式市場は積極的に上値を追う状況ではないことが明らかになったといえる。
このように米国はじめ、世界的に景気減速懸念が出てくると、円のような債権国の通貨は買われやすい。その上、今週出てきた円高対策は、対処療法的な面が強く、今の円高を食い止めるという意味合いは小さいように見える。現在の円高を食い止めるには、積極的な金融緩和が不可欠である。
じりじりと円高が進む環境は今後も継続すると考えておきたい。
米国株価のみならず、世界的に株が下げていてリスクを回避する動きが進んでいる。ユーロ円は大台の1ユーロ=100円が間近に迫っているが、円高の動きに衰えは見られない。ドル円は介入警戒感から積極的に売られる動きにはなっていないが、基本的にドルの上値は重い状況が続きそうだ。