アメリカが危機的状況に陥っている。8月2日までに米国債の債務上限を上げる方向で妥結できるかに市場の注目が集まっている。ただ、与野党がそれぞれ歳出削減などを絡めて個別の案の策定に動いているが依然として、折り合いがついていない。
もし債務上限の引き上げ交渉が決裂すれば、信用不安が高まり、世界経済は大混乱する。このような状況を懸念して各国の株価が下落。NYダウは先週末から600ドル近く下落している。また、信用リスクを示すCDS(クレジット・ディフォルト・スワップ)に関しては、2009年4月以来の高水準になっている。加えて、今回の一連の問題を受けて、機関投資家からも動き出していて「7月に入り米国債の残高を減らしている」との声も聞かれている。
為替相場はドル安が進み、29日金曜の昼過ぎに77円45銭程度まで下落。円以外の通貨に対してもドル安が進んでいる。ただ、現在のドル安円高は米債務問題を背景にしているため、この問題が解決すれば逆に円安方向に進む場面もあるだろう。とにかく、市場の関心は米債務問題に集中している。
アメリカの債務問題を背景にドル円はドル売りが進みやすい状況。ただ、問題が解決した場合は大きくドル高に進む可能性があるため注意が必要。ユーロ円相場もユーロ圏の債務問題が根強く残るため、ユーロが下げやすい状況。