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2011年7月23日放送

今週21日木曜日に円は1ドル=78円28銭まで下落し、3月17日以来の円高水準となった。80円割れが常態化しているなか野田財務相は「特定の水準を言及するわけにはいかかないが現在の傾向は偏りすぎている」と発言。しかし、今回の円高局面では、介入は難しいとみられる。

その理由の一つが、円高進行のスピード。前回行った3月18日の介入では、3月11日の高値の83円30銭から、3月17日の安値の76円25銭まで約1週間で7円5銭もの円高が進んだ。それに対して今回の円高は7月8日の高値81円49銭から7月21日の安値78円28銭となり、2週間弱で進んだ円高が3円21銭分と、動きが緩慢である。水準はともかく、値動きは落ち着いたものであるため、介入について各国から合意を得ることも難しいだろう。

また、円高には別の要因もある。日米の中業銀行のバランスシートを見ると、アメリカ(FRB)は2008年以降、バランスシートを2.5倍程度にまで膨らませてきている。日銀も量的緩和の実施など、デフレ対策を実施してきたが、規模は決して十分とはいえず、30%程度バランスシートを拡大したに留まっている。

アメリカの金融緩和が日本のそれよりも規模が遥かに大きいわけで、当然ドル円ではドル安円高圧力が働いてしまう。為替相場は相対的なものであるわけで、日銀も他の通貨を取り巻く環境も考慮して政策を考えるべきであろう。

このような状況を鑑みると、円高傾向はまだ続く可能性が高いと考えておきたい。

急激な動きは起こりにくいが、日米の金融政策の差が、ドル円相場におけるドルの上値をしっかりと抑えているかっこう。また、欧州はギリシャを始めとしたユーロ圏各国の財務問題などで、ユーロ円もユーロの上値が重くなりそうだ。

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