今週はギリシャの財政問題がマーケットに注目された。ギリシャのパパンドレウ首相は15日に大連立構想を打ち出したものの、与党内の混乱で新閣僚の人選がずれこみ、内閣改造を17日に延期すると発表。さらにギリシャ財務省が14日に発表した政府の1−5月期財政赤字(暫定値)は103億ユーロと、前年同期の91億ユーロから大きく増加。財政再建がうまくいっているとは言いがたいうえに、内政の混乱が続いていて、今後のギリシャ情勢についての市場の懸念を強まっていきそうだ。
このような状況を背景にギリシャへの不透明感が拭えないことを、マーケットは敏感に感じ取っている。ギリシャの10年債利回り、年初は12%前後での推移が続いがが、その後じりじりと上昇。今月に入って再び大きく上昇し、18%というかなりの高水準となっている。
また、EUとIMFによる総額1100億ユーロの第1次支援枠のうち、120億ユーロ分について19−20日のユーロ圏財務大臣会合で決まる。しかし、最大の支援国であるドイツからは、財政再建が必ずしもうまくいっていないギリシャへの支援に対し、難色を示す声がいくつも出ている。
7月上旬の支援についてはなんとか目処がたっているが今後も支援が逐次必要となる。その際、財政再建計画がうまくいっていなければ、今回のように支援の可否について話し合われ、その都度市場の不安が高まることが予想される。ギリシャの財政問題は依然として綱渡り状態、かなり厳しい状況であると心得ておきたい。
アメリカの10年債の利回り(長期金利)が低下している影響で、ドル円はドルの売り圧力がかかりそう。また、先ほどのギリシャ問題が根強く意識されていることから、ユーロを買っていくことも難しい。加えて、各国株価の上値が抑えられていることで、ドル円・クロス円は全体的に上値が重くなりやすい。このことからドル円・ユーロ円ともにドル、そしてユーロの上値が重くなりそうだ。